野菜&果物の美養栄養学

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砂糖に課税、野菜に補助金が出ると健康格差が減る?

アメリカでは経済格差と健康格差の統計調査がよく行われていますが、これらはだいたい比例しているようですね。
日本でも近年の統計調査によると、やはり比例しているようです。

原因はアメリカでも日本でも、野菜の摂取不足と、砂糖入り食品のとりすぎ、加工肉(ハムやウィンナー)のとりすぎなどが挙げられています。

そんな中、アメリカでは新たな統計調査の結果、砂糖を含む食品や赤身肉を課税対象とし、野菜やナッツ類などに補助金を出せば、健康格差が狭まり、年間23,000人の命が救えるかもしれない!? という推定を発表しました。

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経済格差と健康格差が比例する背景とは?

アメリカでは社会的な地位が低く、所得が少ない人たちが住む住宅地には、生鮮食品が買えるスーパーがほとんどありません。
安価で手に入れることができる砂糖がたっぷりと入った加工食品や飲料、そしてタンパク源は、ハムやウィンナーなどの加工肉です。
そのため、所得の低い人たちは、野菜やナッツ類の摂取が不足し、糖質過多の為、不健康な人が多いのです。

それは子どもにも及び、小児肥満や小児糖尿病の原因にもなっています。

また所得の少ない人たちは、学校教育をきちんと受けられておらず、本来知るべき情報も知らないため(三大栄養素の知識や野菜摂取の意味)、健康に生活していくための知識不足も指摘されています。

一方、一般的な所得のある人たちは、そういった知識や、近所に生鮮食品が買えるスーパーもあるので、健康被害が少ないと考えられています。

日本では、ここまで詳細な統計や調査が行われていませんが、アメリカ同様、所得の少ない人々に健康被害がより多いことだけはわかっています。

健康格差が減ると推定される内容とは?

アメリカのタフツ大学ではこの健康格差を減らすために、ある推定を発表をしました。

その内容は、野菜やナッツ類など病気の予防や改善に役立つ食べ物を買う場合に”補助金”が出る制度をつくり、 白く生成された砂糖そのものや砂糖入りの食品や飲料、そして多くの疾患の原因となっている赤身肉とその加工品を課税対象にするというものです。

所得の少ない人たちが、生鮮食品を買う場合に、補助金が出れば、栄養バランスのいい食事を毎日摂ることができますし、今まで安価に買えていた加工食品や加工肉が課税対象で値上がりすると、購入者が減り、それと比例して、病気になる人も減るという推定です。

特にアメリカでは、「心血管代謝疾患」という病気に関しては、経済格差が著しく、所得の少ない人々の間で急速に広まっているからです。
※参考:『BMC医学』2017年11月10日

心血管代謝疾患とは?

アメリカでのお話しで、日本では関係ない!? と思われるかもしれませんが、日本の食習慣と病気の関係も、ある意味、アメリカと類似しているので、「知識」として蓄えておくと、将来、苦しまずに済むかもしれません。

「心血管代謝疾患」と正式名称でいわれると、とても難しく聞こえますが、心臓に近い血管の代謝組織が、毎日の食生活からダメージを受けて、機能が弱っていき、死亡率が高い病気です。

砂糖や小麦粉を使った加工品(菓子類、パン)のみを食べていると、野菜などに含まれるビタミンやミネラルが、体内で蓄積されないので、血管を詰まらせる原因となります。

加工肉もベースは食肉でタンパク質食品となり、本来ならカラダの組織を作る材料となりますが、保存期間を長くするために、食品添加物がたくさん含まれています。
それらをもとに生み出された血液が、健康であるはずはありませんよね。

これらの食品は、完全に排除するのは難しく、所得のある方々の間でも食べられているものです。
ここに野菜やナッツ類、海藻などのビタミンやミネラルが加われば、カラダが欲している栄養成分が補え、血流もよくなるので、こうした「心血管代謝疾患」にはかかりにくくなるのです。

タフツ大学の調査が実現されれば!?

今はまだ、推定調査の段階ですが、実際にこの推定が現実のものとなれば、野菜などの健康的な食品と、健康に害を与える食品の価格が逆転することになります。

すなわち、果物や野菜の価格を下げて、砂糖入りの食品や飲料を値上げすることで、大きな変化が見られる、ということです。

その影響で、アメリカの経済格差や健康格差が縮小し、所得の少ない人たちに多い、心血管代謝疾患の死亡率も確実に減るということがわかってきました。

一般に、モノの値段は、大量生産や大量収穫ができるようになると価格が下がり、希少性のあるものは高級品として価格が高いのが現状です。

しかし、タバコの課税のように、健康被害が明らかになっているものは、高級品という位置づけではなく、人々の命を守るために、値上げや課税対象にしていくのが、今後の世界各国での取り組みとなっていくでしょう。

 

筆者の個人的な考えですが、日本はアメリカが実行すると、それに習うケースが多いので、このタフツ大学での取り組みは、ぜひアメリカが世界に先駆けて、実行にうつしてほしいと思います。
そうすると日本国民の野菜摂取量も増え、健康格差も縮小していくと思いたいです。