アディポネクチンとは、少し難しい名前ですが、1996年にヒトの脂肪細胞から発見された善玉ホルモンです。レプチンと同じようにエネルギー代謝に関わるホルモンで、体脂肪や皮下脂肪をしっかりと燃焼させてくれる上、傷んだ血管を修復して、血の巡りを良くし、全体に代謝のいい“ヤセ体質”に導いてくれます。またスイーツや炭水化物が大好きな方は、体内が糖質過多になっていますが、アディポネクチンは糖質も代謝してくれるのです。
アディポネクチンは脂肪細胞から分泌された後、血液中に存在して全身を駆け巡っていますが、肥満が進み、内臓脂肪が増えてくると、アディポネクチン濃度が下がってしまうこともわかっています。やはりアディポネクチンも、空腹状態の時に分泌されやすく、ヒトのDNAに刷り込まれた“飢餓”に備えるために、倹約遺伝子という立場でも活躍してくれます。お腹が空いても、仕事中や移動中などで、すぐには食事がとれない時もあるでしょう。その時に空腹がガマンできるのは、このアディポネクチンの働きのおかげです。
アディポネクチンは大豆製品や緑黄色野菜に含まれる“ベータコングリシニン”という成分の摂取でも分泌量が増えることがわかっています。この成分も食べてすぐにアディポネクチンが分泌されるわけではありません。空腹時にアディポネクチンが分泌されやすくなるよう、食事の際、豆腐などの大豆製品と緑黄色野菜を食べておくようにしましょう。
【参考文献】
・『基礎 解剖生理学 第3版』,株式会社おうふう,413,2012