昨年あたりから、チョコレートにビスケット、キャンディ、コーンフレークなどなど、常温保存の食品に乳酸菌入り製品が続々と登場していますよね。
乳酸菌は”菌”なので、本来、生きていないと繁殖しません。味噌、ヨーグルト、漬物、キムチなどは、生ものなので、乳酸菌入りなのも納得できますが、なぜチョコレートに?と思われている方も少なくないでしょう。
乳酸菌とは?
乳酸菌は主に食品中の糖をエサに繁殖していき、発酵後は文字通り”乳酸”を生成するので、食品を酸っぱくするのが特徴です。
世界各地でも、微生物を利用した乳酸菌食品が存在し、現代の日本でも食べられているヨーグルト、キムチなどもそうです。やはりこれらも酸っぱいですね。
乳酸菌は生きた”菌”でなければいけない、と考えられていましたが、酸を造らない”死菌”でもヒトの体内に入ると、生きた乳酸菌と似たような作用をすることがわかり、この”死菌”を用いた加工食品が多く製造されるようになったのです。
代表的な子どもにも人気の健康おやつ『ビスコ』はその先駆けとなった製品と言えるでしょう。
死菌でも免疫力UP作用が望める!
”死菌”だとなんだか、本当に健康にいいのかしら?と疑問に思いますよね。しかし、微生物の世界の菌たちは、自然界の空気を必要とする動植物と違い、空気がなくても繁殖したり、死んだりします。また死んでいるのかと思ったら、また活動を開始したりと、摩訶不思議な性質を持つ菌も存在します。加熱や冷却で一旦、失活しますが、適温になるとまた活動したり...。
乳酸菌はヒトのカラダにイイ菌なので、死菌を活用して様々な製品ができたことで、毎日生もののヨーグルトなどを摂取しなくても話題の「菌括」ができるようになったのです。発酵食品は独特の味がするので、苦手な人にとっても嬉しいですね。
乳酸菌は多い方がいい?
一般に、乳酸菌は生きた菌でも死菌でも、菌数が多い方が、カラダにいい影響を与えると考えられています。免疫力UPの観点では、乳酸菌が腸を通過する際、腸管上皮細胞が乳酸菌を取り込み、免疫システムが作動するからです。菌の数が多いほど、取り込む数が多くなるので、整腸作用や、様々な病気予防にいいと考えられています。とはいえ、乳酸菌入りのチョコレートをひと箱一人で食べるのはいただけません。適量の1食分の食品にどれだけ多くの乳酸菌が入っているかがキーとなるでしょう。
発酵食品の全てが乳酸菌ではありません
発酵食品ブームで、納豆や甘酒などの昔ながらの食品も見直されていますが、納豆を発酵させているのは納豆菌です。食品に利用される菌の中では一番強力と言われており、納豆を冷蔵庫に入れているだけで、自家製の甘酒もヨーグルトも発酵できなくなる、と言われています。自家製甘酒やヨーグルトにトライしている方は、納豆を同じ冷蔵庫内に入れないように注意しましょう。
そして甘酒も乳酸菌でありません。これは米麹によるものです。またヨーグルトに多いビフィズス菌も乳酸菌ではありません。ヨーグルトは製品によって発酵させる菌が違うのも面白いところですね。
これらの発酵食品は乳酸菌には分類されませんが、同じく微生物の仲間ですし、腸内環境を整え、免疫力をUPさせてくれるでしょう。
身近にある乳酸菌食品とは?
忙しい方は、チョコレートやビスコ、キャンディなどから乳酸菌を補うとして、やはりどんなものに乳酸菌が入っているのか知っておきたいものですね。身近にある食材や調味料など、わざわざ買わなくても、みなさまのお宅にもきっと常備されているものがあるでしょう。
- 乳製品
ヨーグルト、チーズ - 調味料
醤油、味噌、ナンプラー(魚醤) - お酒
日本酒、ワイン - 漬物類
ぬか漬け、浅漬け、キムチ、ザワークラウト、ピクルス - 押し寿司
石川県名産の”かぶらずし”、和歌山県名産の”なれずし”など
この中でも、乳酸菌密度の高いものは!?
- ヨーグルト
- 日本酒
- ぬか漬け
- キムチ
- ザワークラウト
- かぶらずし・なれずし
となります!かぶらずしやなれずしなどの押し寿司系は、塩漬けした魚をご飯と一緒に再度漬けるので、ご飯の糖質が乳酸菌を大量に増殖して乳酸菌密度が高くなるようです。糖分は悪者と考えられがちですが、乳酸菌を増やす、エサとなるので、こと発酵食品を造る際には必要な食品だということもわかりましたね。
乳酸菌入り食品を賢く活用して、生きた乳酸菌食品も、乳酸菌入りチョコレートも、話題の「菌活」と「腸活」に役立てましょう。