「菌活」といえば、主に乳酸菌やオリゴ糖入り食品をとって、腸内環境を善玉菌優位にすることをいいますが、腸と同じく、口の中にも様々な菌が存在します。
口の中は、歯磨きをさぼるとすぐに虫歯になったり、口臭に悩まされたりしますが、これらもすべて口の中の悪い菌が作用しているもの。
今や口の中も「菌活」が必要といわれる時代になってきました。
歯磨きやマウスウォッシュで「殺菌」作用があるものは良い菌も殺菌してしまうので、タブーです。
口の中の「菌活」はどのようにすればいいのでしょうか?
口の中が悪玉菌優位になると…?
虫歯も歯周病も口の中に潜む菌が原因で一種の感染病になります。
虫歯はミュータンス菌、歯周病はポルフィロモナス・ジンジバリスという口の中の悪玉菌によって起こっているのです。
治療するとその時は症状は治まりますが、一度棲みつくとなかなか死滅しない!? とも考えられています。
厚生労働省では、「歯周病は日本人の8割を占めるのでは?」と示唆していることもあり、私の口の中は悪玉菌優位な人が多いようですね。
※参考:厚生労働省
歯周病はひどくなると、その悪玉菌が体内に入り込み、 糖尿病や心筋梗塞、早産、低体重児出産、骨粗しょう症などを引き起こすことでも知られています。
特に高齢者は手や口が思うように動かず、食べ物の残りカスが口の中に溜まり、また歯磨きがきちんとできないため、虫歯や歯周病になりやすい傾向があります。
若年層でも、歯磨きを怠っていると、特に女性では、赤ちゃんに影響するので、出産を控えている年代の方は、口の中を清潔にしておきましょう。
口の中は清潔すぎてもいけない?
「口の中を清潔に」と聞くと、殺菌作用のある歯磨き粉やマウスウォッシュを選びがちですが、そうすると善玉菌も殺菌してしまうので、虫歯や歯周病の予防にならないことも、近年の研究でわかってきています。
腸内と同じく、口の中も善玉菌優位にしなければ虫歯や歯周病予防はもちろん、口からカラダの栄養となる食べ物が飲み込まれるので、カラダ全体の健康維持にもつながらないようです。
殺菌作用のある歯磨き粉で歯磨きをするのではなく、歯磨きの際は、歯石が溜まらないよう、歯の汚れを落とし、歯間ブラシや糸ようじなどを使って、歯と歯の間の食べ物の残りカスをしっかりと取り除いておきましょう。
歯磨きができない場合は、殺菌作用のあるマウスウォッシュを使用しなくても、水道水の水でしっかりと口をすすぎ、うがいをするだけでも口の中はある程度清潔になります。
まずは食べ物カスが長時間口の中に溜まらないようにするのが先決です。
乳酸菌は歯の善玉菌にも有効?
広島大学の研究で、ラクトバチルス・ラムノーザスという乳酸菌が歯の善玉菌を増やすことがわかり、「L8020乳酸菌」という名で続々と歯磨き粉やマウスウォッシュ、タブレットなどが製品化されていますね。
この「8020」という数字は「80歳になっても20本の自分の歯を維持しよう!」という願いが込められて命名されたそうです。
中にはベビー用のタブレットも登場しています。
赤ちゃんの口の中には本来、虫歯になるミュータンス菌は存在しないのですが、両親からの食べ物の口移しなどで、いつの間にかミュータンス菌が棲みついてしまいます。
乳歯の頃から虫歯ゼロの口内環境が整えば理想的ですね。
他に、「L.ロイテリ菌」「乳酸菌LS1」という乳酸菌が口内の悪玉菌をやっつけて善玉菌優位にしてくれるようです。
ミントも活用してみよう!
多くの歯磨き粉の香り成分に使われている「メンソール」はミントから抽出されたものですね。
日本名では「ハッカ」となります。
スイーツやフルーツの盛り合わせの上に載っているミントの葉は、ただの飾りではなく、スイーツに含まれるショ糖やフルーツに含まれる果糖で虫歯にならないように、という昔の人たちの知恵でもあるので、残さず食べるようにしましょう。
またうがいの際、コップにハッカ油や天然のミントのアロマオイルを数滴たらしてうがいをすると、悪玉菌の殺菌となるでしょう。
科学的に加工された殺菌作用のある製品はいいものまでやっつけてしまう場合がありますが、天然のものは、自然の法則でいいものを残し、悪いものを排除してくれるので、活用したいですね。
ただ天然のものは薬事法などから「100%効く!」とは言い切れません。
乳酸菌もミントも、予防医学の観点ですが、適宜取り入れて、虫歯や歯周病の悩みを減らしていきましょう。