皮膚は、全身を覆っている臓器となり、カラダの一番外側にあるので、目に見える臓器でもありますね。
皮膚は乾燥や吹き出物、シミ、シワなどが目に入るので、ほとんどの方が「皮膚の見た目」を気にしていることでしょう。
しかし皮膚は「紫外線や外気、ばい菌やウイルスなどの刺激から体内を守る」という大役も果たしているのです。
そんな皮膚と夜遅い食事習慣の関係が、アメリカのカリフォルニア大学アーバイン校の研究発表で明らかになりました。
夜遅い食事習慣は体内時計を狂わせる
今年(2017年)のノーベル医学・生理学賞に輝いた『体内時計』は、夜遅い食事習慣でも狂うことがわかっており、特に紫外線による皮膚ダメージに大きな影響を及ぼしているようですね。
まだマウスを使った動物実験段階ではありますが、カリフォルニア大学アーバイン校の調べでは、マウスに日中、エサを与えると、皮膚の体内時計が乱れることが確認されました。
マウスは、人間の体内構造と、大変共通点が多いため、研究調査で利用される動物ですが、大きな違いは、人間と違い夜行性であることです。
そのため、人間の夜はマウスでは日中に当たります。
この実験も、マウスのリラックスタイムや就寝タイムにあたる日中に餌を与えているのです。
以下の内容は、そのカラクリをご理解の上、読み進めてくださいね。
夜遅い食事の皮膚ダメージとは?
マウスにとっての日中の食事(人間では夜間)は、活動期(マウスでは夜、人間では昼)における遺伝子の働きが10%も変化しました。
その中でも、細胞増殖に関与する遺伝子の働きが弱まり、皮膚の代謝がうまくいかないこともわかりました。
夜遅い食事は紫外線による影響を受けやすい?
また、紫外線のB波によって、皮膚の遺伝子がさらに傷つきやすい状態になっており、紫外線ダメージを修復する遺伝子の働きも少なくなりました。
安静期(ヒトでは夜、マウスでは昼)に食事を摂ると、ヒトや動物が持つ自然治癒力の能力も薄れてしまう、ということですね。
この研究で、食事のタイミングで、皮膚の老化を招いたり、ひどい場合は皮膚がんを招く、ということもわかりました。
※参考:Cell Reports 20, 1061–1072, August 1, 2017
以前から「夕食は就寝3~4時間前に済ませること」と国の『食生活指針』などでも注意喚起が促されていましたが、これは絶対に守っておきたい食習慣ですよね。
1日のトータルで食事内容を見直すことが多いことですが、やはり食事を摂るべき「体内時間」のことも、今後の健康や美容の維持には欠かせない課題となるでしょう。
逆に、就寝前にお腹が空きすぎると、成長ホルモンが分泌されない、という説もあり、どちらを選ぶかは本人次第ということになりますが、いずれにせよ、お腹いっぱい食べ過ぎず、常に食事は腹八分目に留めておきましょう。