日本人の食生活は太古の昔から魚介類と穀物が中心でした。
日本人の食卓に、日常的に肉類が取り入れられるようになったのは、戦後の高度成長期からです。
その後、食の欧米化が進み、戦前にはなかった様々な病気が現れ、肉体だけではなく、うつ病をはじめとした精神疾患も増え続けています。
そんな、うつ病リスクを減らす食生活として見直されているのが、本来の日本人の体質にあった魚介類中心の食生活です。
今年(2017年)9月に発表された慶應義塾大学と国立がん研究センターの共同研究の調査報告を見てみましょう。
魚介類とうつ病予防の関係
慶應義塾大学と国立がん研究センターが行った疫学研究は、1990年から2015年まで追跡調査が行われました。
1990年当時に40~59歳であった人たちが、当時の食生活調査に参加し、2014~2015年に行われた「こころの検診」で回答した結果がまとめられたものです。約1200人から回答が得られたそうです。
食生活調査では、マグロやサケなど日常的によく食べられている魚、魚卵、貝類、かまぼこやちくわなどの加工食品も含めて「魚介類」とし、1日当たりの摂取量を4つのグループに分けて調査しました。
魚介類の摂取量が2番目に多いグループ(1日平均110g)は、一番少ないグループ(1日平均57g)と比べると、うつ病のリスクが56%も減っていることがわかりました。
厚生労働省の「平成28年度 国民健康・栄養調査」によると、わが国の魚介類の1日平均摂取量は66gです。
また1食分の魚の平均重量は70gです。
うつ病を防ぐには、平均値よりも多めに魚介類を摂るといいようですね。
※参考:『Translational Psychiatry』
魚介類の栄養成分別うつ病予防は?
魚介類はタンパク質食品でもありますが、オメガ3系(n-3系)脂肪酸が豊富なことでも有名ですよね。特に背が青いサンマ、イワシ、アジ、サバなどに多く含まれます。
前述の調査結果でもオメガ3系のEPA(エイコサペンタエン酸)の摂取量とうつ病予防の関係が見られました。
EPAの摂取量でも4つのグループに分けて調査されましたが、EPAに関しては2番目にEPAの摂取が少ないグループでも、うつ病リスクの低下が見られたのです。
EPAは世界中でもアンチエイジングやうつ病との関連が研究され、抗うつ作用が期待されてきましたが、この研究で、さらにEPAがうつ病の予防となることがわかってきましたね。
EPAは加熱に弱いので、お造りやお寿司、カルパッチョなど、生の魚介類でいただくか、海鮮鍋のように加熱調理後、すぐに食べるようにしましょう。
スーパーなどで購入できる”焼き魚”は加熱調理後、数時間たっているので、ほとんどEPAの含有量は期待できないでしょう。
落ち込んだ時は魚介類のやけ食いがいい?
魚介類を多めに取ることで、うつ病のリスクが低減されることがわかってきたので、女性に多い、「気分が落ち込んだ時のやけ食い」はスイーツや焼肉ではなく、魚介類にチェンジしてみましょう。
お肉と違い、魚介類に含まれる脂肪酸は「不飽和脂肪酸」なので、例えEPAの含有量が減っていたとしても、体内で中性脂肪にはなりにくいでしょう。
EPAや不飽和脂肪酸などの働きや、各魚介類の詳細は以下の関連サイトも、ぜひご参考に!
師走は忘年会やクリスマスでご馳走を食べる機会が多いので、お肉よりも魚介類を多めに摂取して、年末年始の心配事や落ち込みを少なくしましょう。