風邪をひいてしまったり、インフルエンザに感染したり、そして些細なことですが頭痛やカラダの冷えなど、多くの人が、病気や不調に陥ったときに、「言い知れぬ不安感」に襲われていることでしょう。
これが大病になってくると、心の不安感はもっと大きくなり、カラダの病だけではなく、精神面もダメージを受けてしまいますね。
この”病気=不安感”の関連は、近年の研究で原因がわかってきました。やはり日頃の食事が影響しているのでしょうか?
アミノ酸が不足すると...!?
日本の理化学研究所を中心とした研究チームが、免疫反応を常に活性化させたマウスを使って、体内の変化を調べたところ、アミノ酸の不足により、さまざまな不安行動を示したことがわかってきました。
この「免疫反応を常に活性化させたマウス」の体内とは、人間で言う病気や不調を抱えているヒトの体内と同じような状況にしたもので、ここでは、わかりやすいように、”病気のマウス”といたします。
病気のマウスは、病気を治そうと、体内のアミノ酸を免疫細胞に取り込むことを優先するので、血液中のアミノ酸が減少していることがわかりました。
不安感や心の平安などは、セロトニンなどの神経伝達物質の影響を受けていますが、このセロトニンを造る材料も”アミノ酸”です。
病気のマウスは脳内のアミノ酸濃度も低くなってしまうので、セロトニンの他に、学習や運動に左右するドーパミンも不足してしまいます。
このため、病気のマウスは、健常なマウスに比べて、活動量が減って、精神的に不安な様子をみせる行動が多くなったそうです。
アミノ酸は食事からのタンパク質
この研究ではマウスが使われていますが、マウスは人間の生体構造と似ている部分が多いので(体内でビタミンCが合成できないなど)、マウスに起きた事実は、人間にも起きやすいと考えられています。
食事からのタンパク質の摂取量が影響しているかどうかは、この研究では触れられていませんが、アミノ酸は、食事からタンパク質食品を摂取することで得られます。
特に「必須アミノ酸」と呼ばれる9種類(子どもは10種類)のアミノ酸は、体内で合成できないので、食事から得る必要があるのです。
- トリプトファン
- リシン
- メチオニン
- フェニルアラニン
- トレオニン
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
- ヒスチジン
これらを暗記する必要はありませんが、トリプトファンはセロトニンの分泌に欠かせないアミノ酸ですし、フェニルアラニンはドーパミンの分泌に関与しています。
しかし、必須アミノ酸は9種類全てが揃わないと、それぞれの機能を発揮しないという面もあります。
よく「ベジタリアンの人や、白く生成された炭水化物をよく食べる人に、うつ病が多い」と言われていますが、それは、必須アミノ酸9種類が体内に揃わないので、ある意味、本当のことなのです。
必須アミノ酸が全て揃うと”病気=不安感”の両方の改善に?
必須アミノ酸が全て揃っているタンパク質食品は魚介類も含む動物性食品です。
- 肉類全般(牛肉、豚肉、鶏肉、レバー類)
- 魚介類全般
- 卵
- 乳製品全般(牛乳、チーズ、バターなど)
しかし、ベジタリアンの方々のタンパク源となっている豆腐や豆類などのタンパク質食品は、1品で必須アミノ酸9種が揃いません。(豆類はメチオニンの含量が極めて低い)
またお米や小麦粉、大麦などの穀類も、タンパク質は含まれていますが、やはり必須アミノ酸9種が揃いません。(穀類はリシンの含量が極めて低い)
そこで、ご飯+納豆、ご飯+お味噌汁などの組み合わせが必要となってきます。
この時に、お肉や魚介類を取り入れると、アミノ酸スコア100となり、必須アミノ酸9種が揃うことになります。
※アミノ酸スコアとは、必須アミノ酸9種類がバランスよく取り入れられる数値で100に近いほどいいとされています。
病気と闘ってくれる免疫細胞も、私たちの脳を支配して精神面を支えてくれる成分もどちらもアミノ酸が原料です。
必須アミノ酸の1つ1つの働きを、ここに明記すると、かなりの長文になるので、割愛しますが、必須アミノ酸のどれかが欠けても、免疫力も、精神力も下がるということです。
必須アミノ酸をうまく利用するために野菜摂取も大切
食事では、タンパク質のアミノ酸バランスだけが整っていても、それを活かすビタミンやミネラルなどの補酵素が不足すると、これまた病気や不調の原因につながります。
魚介類を含む動物性食品はアミノ酸バランスの点では、申し分ありませんが、単品ではそれぞれのアミノ酸が体内で機能しないので、野菜も一緒に摂取するようにしましょう。
今ならお鍋やシチューにすると一品で様々な食材が取り入れられますね。
一昔前までは「バカは風邪ひかない」と言われていましたが、それは昔のお話し。
今は世界の常識として「知識人は風邪ひかない」に変化してきています。
食の知識を取り入れて、”病気=不安感”を少しでも感じにくい体質づくりを目指しましょう。