日本でサクランボ(チェリー)の旬といえば、初夏ですが、クリスマスが近づくと、アメリカンチェリーなどの輸入物や冷凍のサクランボが並びますね。
クリスマスムードが高まる師走も、一方では年末で仕事が忙しく、ストレスを抱え、「疲れているのに眠れない」、「睡眠時間を数時間しか確保できない」など、『睡眠負債』に陥っている人もいます。
そんな中、アメリカの予備研究で、チェリージュースで不眠症が改善できそうだ、という研究報告が発表になったので、見ていきましょう。
チェリージュースのポリフェノールがカギか?
アメリカのルイジアナ州立大学が行った予備研究では、50歳以上の不眠症患者、男女8人を対象に、チェリージュースを2週間飲んでもらうという実験を行いました。
チェリージュースは、アメリカ国内では一般的な品種モンモランシーの「タルトチェリージュース」が使用されました。
※「タルトチェリー」はアメリカで採れるモンモランシー種のうちの1品種です。
実験では2つのグループに分けられ、一方のグループがチェリージュースを飲んだ群、もう一方のグループは、味と見た目がそっくりのプラセボ(偽)ジュースを飲んだ群です。
サクランボは、世界で様々な品種がありますが、どの品種も赤いのが特徴で、それはポリフェノールによる色素成分です。
その中でも、モンモランシー種の1種であるタルトチェリー種はプロシアニジンというポリフェノールが多く、その結果、チェリージュースを飲んだ群は、睡眠をいざなうトリプトファンの分泌が増え、平均84分も睡眠時間が伸びたということです。
この実験では、2週間後、2つのグループは交代で、それぞれチェリージュースとプラセボジュースを飲み、追跡調査が行われましたが、やはりチェリージュースを飲んだグループにトリプトファンの分泌が増えたことがわかりました。
他にプロスタグランジンの炎症に関与するキヌレニンの血漿レベルも低下したそうです。
※参考:『米国治療学雑誌』 2017年
チェリージュースは頭痛も改善できるか?
この研究ではチェリージュースと頭痛の関係は明らかにされていませんが、チェリージュースを飲むことによって、キヌレニンの血漿レベルが低下するので、プロスタグランジンの炎症が抑えられています。
プロスタグランジンは、分泌量が多くなると、頭痛の原因など、さまざまな不調に関与するので、頭痛持ちの方にも、チェリージュースはいいかもしれませんね。
プロスタグランジンは、ヤル気UPなどにも関わるので、全くないのも困りますが、プロスタグランジンの炎症が少なくなると、少なくとも頭痛の影響は和らぐと考えられますね。
チェリーを取り入れよう!
冒頭で述べたように、日本のサクランボの旬は初夏ですが、今は冷凍のチェリーやドライチェリーもあります。
アメリカでは大量にサクランボが収穫できるので、ジュースやサクランボを使ったスイーツ類も多く存在し、身近な食材なので、こういう研究の対象にも取り入れられるのでしょう。
日本を代表するサクランボの品種は「佐藤錦」でかなりの高級品ですが、栄養価の面では、アメリカンチェリーの方がポリフェノールの含有量が高くなります。
クリスマスの時期に出回る輸入物や冷凍物もアメリカンチェリーなので、不眠症で悩む方は、プロシアニジン摂取のためにもチェリーを食べておくといいしょう。
実験で使われたモンモランシーのタルトチェリージュースは、成城石井など、輸入食品を扱うスーパーやデパートで購入できますし、ネット通販なら買いやすいでしょう。
クリスマスケーキをチェリータルトやチェリーパイに
日本で一般的に食べられている「クリスマスケーキ」はイチゴと生クリームの、いわゆる「ショートケーキ」が一番多いと思いますが、今年はアメリカンチェリーを使用したチェリータルトやチェリーパイでプロシアニジン摂取をしてみはいかがでしょうか?
クリスマスケーキは、クリスマスのご馳走でお腹がいっぱいになった後のデザートして食べるので、毎年、クリスマスケーキを食べた後、精神疾患の症状が悪化するという報告も出ています。(食後高血糖などが原因)
ご家庭で甘味料にも気を配った手作りのチェリータルトをクリスマスケーキとすれば、クリスマスの非現実的な雰囲気で昂ぶった神経を休め、心地より眠りにつけるかもしれませんね。