花粉症などのアレルギーは、免疫細胞が活発化しすぎて起こることや、何らかの食生活で、体内でヒスタミンが発生して、アレルギー体質になること、etc.
様々な原因が考えられますが、近年、腸内フローラの悪化も原因の1つとして研究が進んでいます。
それを救うのは、食生活を「和食」に切り替えられること!? とも。
詳細を見ていきましょう。
現代病の多くが腸内フローラの悪化が原因?
腸内細菌が原因で、糖尿病や肥満などの生活習慣病、肝臓系の疾患を引き起こすことは、次々と論文が発表され、TVや健康系の雑誌でも取り上げられているので、ご存知の方も多いことでしょう。
腸内細菌の中でも、腸内フローラを構成する菌種と数が多いほど、カラダに有用な成分をつくる菌が多くなります。
また、この多様性が低くなってしまうと、体脂肪率が増加し、病気になりやすいことが近年の研究で明らかになってきました。
腸内細菌と肥満の関係について、約9年に及ぶ追跡研究では、体重が増えたグループでは、腸内細菌の多様性が減っていることがわかっています。
その一方で、食物繊維の摂取量が多い人ほど、腸内細菌の多様性が保たれていたことが確認されたそうです。
他にも、赤身肉に含まれる栄養成分をエサとする腸内細菌がいた場合、その代謝物質の種類によっては、動脈硬化など、心血管病の発生率が高くなる、という報告もあります。
ここまでだと、花粉症とは関係なさそうに思われるかもしれませんが、腸内フローラが良い方向に働くか、悪い方向に働くかで、免疫系にも影響を及ぼし、アレルギーの改善か? 悪化か? 道は分かれてしまうのです。
腸内フローラの働きとは?
●腸内フローラの良い働き
健康や美容に関わってくる、腸内フローラの良い働きとは、
- 食事から得る栄養成分の消化吸収の補助を行う
- ビタミンやアミノ酸の合成を行う
- 免疫機能を刺激する
- 病原菌の増殖を抑える
などのメリットがあります。
一方の、病気やアレルギーを引き起こす、悪い働きとは...?
●腸内フローラの悪い働き
主に、腸内の栄養成分を腐敗させてしまい、発ガン物質や毒素を産生するという、余計な仕事をします。
しかし、これは私たちの食生活により、そうなってしまっているので、厳しいですが「自業自得」ということになりますね。
どんな病気が待ち受けているのか、見てみましょう。
- 免疫系では…
- 花粉症をはじめ、食物アレルギー、鼻炎などのアレルギー
- 関節リウマチ
- 神経系では…
- うつ病や不安障害などの心の病
- 自閉症
- パーキンソン病など
- 代謝系では…
- 肥満
- 糖尿病
- 脂肪肝や肝ガンなど
- 腸関連の病気では…
- 過敏性腸症候群
- 炎症性腸疾患
- 大腸ガン
- 偽膜性大腸炎など
便秘がちな人は、特に気を付けておかないと、腸相が確実に悪くなっているので、悪い腸内細菌が活躍し、腸内フローラも悪い働きをしてしまいます。
花粉症もひどくなる可能性大ということにもなります。
では、どのように改善していけばいいのでしょうか?
特に今は、花粉症の時期なので、免疫系に影響するアレルギーの改善食について見てみましょう。
和食がアレルギーを救う?
私たちのカラダには免疫システムが備わっており、細菌やウイルス、花粉や黄砂などの有害物質、ガン細胞などから守るのに、重要な役割を果たしています。
しかし、免疫細胞たちが、過剰に働きすぎると、今度は、守備体制を通り越して、アレルギーや、自己免疫疾患などを引き起こす、という悪い面が出てきてしまうのです。
腸内フローラは、こうした免疫システムのバランスを維持する役目もあり、それは短鎖脂肪酸の1つである「酪酸」がキーとなっていることが、理化学研究所の研究でわかってきました。
活発化しすぎた免疫細胞を抑えるには、制御性T細胞(Tレグ細胞)という細胞が活躍しますが、酪酸はこの細胞を増やすのに重要な役割を果たしているのです。
腸内細菌が食物繊維をエサとすると、酪酸を、たくさん作りだしてくれます。
そのためには、冷たいご飯や大麦に含まれるレジスタントスターチ、高野豆腐に含まれるレジスタントプロテイン、そして野菜や果物に含まれる水溶性食物繊維などです。
食事内容を和食中心にすると、これらが自然と、効率よく摂取できるので、腸内フローラが良い方向に働いてくれるのです。
さいごに
諸外国では、自国の伝統料理を大切にしていますが、わが国、日本では、食の欧米化が進み、和食離れが進んでいて残念です。
腸内フローラや腸内細菌の研究では、やはりその国のご先祖が培ってきたDNAが受け継がれているので、日本人は和食を中心とした食生活に戻し、たまに欧米食を食べるようにすれば、確実に、アレルギー体質や肥満、生活習慣病人口は減っていくだろうと、個人的には思っています。
目先の「好きな物」を食べて、毎年やっかいな花粉症で悩むより、和食に切り替える方が、健康にも美容にも役立つでしょう。