食物繊維の代名詞的な存在といえば、やはり野菜ですよね。
しかし、糖尿病などの生活習慣病の発症率と、食物繊維の摂取源の関連を調査した報告では、穀類からの食物繊維の方が優位なことがわかってきました。
詳細をみてみましょう。
野菜の食物繊維だけでは足りない?
日本の野菜摂取量は1日350g、果物120gですが、これを実践できている人は、ほとんどおらず、最新の「国民健康・栄養調査」(平成28年度)では、1日平均276.5gです。
※厚生労働省 平成28年度「国民健康・栄養調査」
男女別に見ると、男性では283.7g、女性では270.5g、年代別にみると、20代の野菜摂取量が最も低く、一番多い年代が60代ということです。
実際、野菜1日350gを実現するとなると、野菜のお惣菜の平均重要が70gなので、それを1日で5皿、サラダだと、たくさん食べているようでも、野菜の重量が軽いので、さほど足しにはなっていないのが現状です。
野菜の摂取目的は、食物繊維だけではなく、ビタミンやミネラルの摂取目的もありますが、こと食物繊維だけでみると、穀類の摂取量をプラスすると、野菜が少々不足しても、さほど問題はないかもしれません。
炭水化物は糖質だけではなく「食物繊維」も含んでいる
雑誌の特集や、TVの影響で、「炭水化物=糖質」と思い込んでいる人も多くなっていますが、イコールではありません。
炭水化物は、糖質と食物繊維が組み合わさったものを指します。
よく「ご飯2膳で、角砂糖27個分」という比較をしている記事やTV番組をみかけますが、ご飯などの穀類と角砂糖の糖質は構造からして違います。
ご飯や雑穀、全粒粉小麦粉などの炭水化物は、でんぷんやブドウ糖などの糖質と食物繊維が組み合わさったものです。
一方の角砂糖はブドウ糖と果糖と組み合わさった二糖類で、同じ糖質でも、構造が全く違うのがわかりますよね。
そのため、穀類からの炭水化物はさけずに、摂るようにしましょう。
ただし、白く生成された小麦粉に限っては、食物繊維はあまり期待できません。
白米は、冷ご飯にすると、レジスタントスターチという食物繊維様が出現されるので、列記とした食物繊維入り炭水化物と考えて問題ないでしょう。
穀類からの食物繊維が糖尿病リスクを下げている?
冒頭で述べたように、ドイツで発表された、糖尿病の発症率と、食物繊維の摂取源の関連を調査した報告では、実際、穀類から食物繊維をとっている方が、糖尿病のリスクが下がったというデータがでています。
※参考:JAMA Internal Medicine、2007、167:956-965
研究では、健康な人たちの食事習慣を調べ、その後の糖尿病リスクが観察されました。
その結果、野菜と果物からの食物繊維摂取だけでは、「糖尿病を予防している」と言い切れる数値にはなりませんでした。
一方の穀類からの食物繊維摂取では、「糖尿病を予防している」と言い切れる数値が出ています。
さいごに
個人的に野菜の摂取を多くするよう心がけていますが、毎日野菜350gをクリアするのは難しいと思います。
特に女性は、男性よりも小柄ですし、女性でも、背の高い人と小柄な人では、食べれる量も違ってきますよね。
無理やりお腹いっぱい野菜を詰め込まずとも、バランスよく、ご飯や雑穀、全粒粉ブレッドなどを取り入れれば、食物繊維量は増やせるので、ご自分の体調やカラダの声をよく聞いて、食事と向き合いましょう。