鼻は本来、老化しにくい器官ですが、やはり加齢とともに嗅覚が衰えてくるようです。
嗅覚を支える細胞の衰えは、脳の「海馬」という記憶を司る領域に「匂い」の記憶も認知されなくなるので、ひどくなるともの忘れや記憶力が低下して、やがて認知症を引き起こします。
嗅覚が衰える原因は?
加齢とともに嗅覚が衰えるのは仕方のないことですが、鼻は他の器官と違い、極端に老化するわけではありません。
ただ、風邪をひくと、症状の1つに食べ物の味や匂いがわかりにくくなる傾向がありますね。
そのため、風邪のあとに嗅覚が一番落ちやすいと考えられています。
風邪のときにショウガやネギ、シソ(大場)、わさび、大根おろし、ミントなど香りの強い香味野菜の薬効作用が昔から改善食や薬として使われていました。
これらの活用は、殺菌作用もさることながら、強い香りを嗅いで、嗅覚のトレーニングも兼ねていたようです。
現在ではアロマオイルなどもあるので、日ごろから香味野菜やハーブ、アロマオイルの香りで嗅覚を鍛えておきましょう。
こうすることで、風邪予防になり、嗅覚の衰えも防げるでしょう。
嗅覚が衰えるとどうなるの?
風邪や加齢で嗅覚が衰えると、嗅覚の神経と脳の海馬への回路はつながっているので、「匂いの記憶」が海馬で認知されにくくなり、物忘れや記憶力といった認知力が衰えてしまいます。
そして認知力だけではなく、食べ物の味も感じにくくなります。
食べ物の味は、一般に舌で感じると思われていますが、食べ物の臭いが良いと感じなければ、ヒトは「おいしい」と思いません。
なので、舌と嗅覚、両方が健康でなければ、食事がおいしく感じられないのです。
また食事を「おいしい」と思わないと、満足感が得られないので、おいしさを求めて、食べ過ぎてしまう傾向もあるようです。
いいものを少しだけ食べると満足しますが、味が中途半端だと、かえって過食になることもあるのですね。
ただ嗅覚の細胞は修復されやすいと考えられているので、香味野菜をうまく利用して、食事と一緒に「香りのトレーニング」も行っておきましょう。
香味野菜の活用
香味野菜には、共通して、硫化アリルやアリシンといった成分が入っています。
カットした時に、鼻にツンと来たり、涙腺を刺激するのはこれらの刺激臭によるものです。
鼻がツンときた後の鼻汁や、目から涙が流れるのは、鼻や目の粘膜を消毒しているためです。
特に鼻の奥、のどの奥、そして耳へとつながっているので、これらの器官にたまる老廃物は鼻汁としてしっかり体外へ排出しておくことも嗅覚を守ることになるでしょう。
またミント類に含まれるメンソールも同様の作用が期待できます。
- 硫化アリルやアリシンが含まれる香味野菜
ショウガ、ネギ、タマネギ、わさび、大根おろし、にんにく、ニラ、ミョウガなど - ハーブ類
バジル、ローズマリー、イタリアンパセリ、パクチー、クレソンなど - メンソール系
ミント、ハッカなど
他に、ハーブティーやアロマオイルも、購入する際に、香りの効能などが明記されているので、お気に入りを探して、日ごろから愛用するようにしておきましょう。
さいごに
鼻は風邪だけではなく、花粉症などのアレルギーや、鼻炎、蓄膿など、鼻特有の疾患でも、匂いがわかりにくくなることがありますね。
鼻の通りが良いと、頭がクリアになり、気分よく過ごせるので、鼻の粘膜を少し刺激してくれる香味野菜などの活用で、嗅覚トレーニングと共に、鼻の疾患予防、そして認知力もUPさせておきましょう。