日本人が古来より食生活に取り入れてきた「味噌」。
和食離れや「塩分控えめ」の影響で、摂取量が減っているようですが、近年、1日3杯の味噌汁で乳ガンの罹患リスクが低減するという疫学調査が発表されました。
お味噌にはどんな秘密が隠されているのでしょうか?
お味噌の歴史
日本でのお味噌の起源は、中国から伝播された「醤(しょう)」という説と、縄文時代に塩漬けした大豆が発酵したもの、という説が残っています。
鎌倉時代には既に書物に味噌汁の存在が記されており、戦国時代は滋養強壮の栄養ドリンクとして重宝されていました。
そして江戸時代に入ると、一般庶民も広く食していたということです。
今のお味噌に近いものは、1300年以上もの歴史になるそうです。
お味噌の一般的な栄養成分
お味噌は米味噌や麦味噌、豆味噌、合わせ味噌と、地域によって種類が違い、それぞれ風味が違うのですが、どのお味噌も、ベースに大豆と塩を使って発酵させています。
その過程で米や麦をいれる場合もあるのですが、基本は大豆に麹を加えて発酵させています。
そのため、タンパク質や食物繊維、大豆イソフラボンなど、大豆本来の成分に加え、発酵過程で、乳酸菌や、抗酸化成分のメラノイジンが生成されます。
また広島大学の味噌研究では、発酵過程で、まだ未解明の栄養成分が、少なくとも1000種類以上はあると推測されています。
お味噌は様々な疾患予防に
また広島大学の研究では、1日3杯以上の味噌汁を飲んでいる日本人女性は、乳ガンの罹患リスクが低いという疫学調査を発表しています。
他に、味噌を毎日、食べ続けることで、脳卒中や大腸ガン、前立腺ガンの発症が抑制されるという動物実験でのデータも出ています。
現在は、味噌のどの成分が作用して様々なガンの予防になっているかは解明されていませんが、解析が進められているそうです。
近い将来、味噌から、新たな健康や美容にいい、栄養成分が発見されるかもしれませんね。
味噌汁は血圧を上げない?
高血圧と診断された方は、医師により、塩分を控えるように指導されますね。
しかし、味噌に含まれる塩分は、他の成分がカバーするのか、血圧は上がらないことがわかっています。
ただし、既に高血圧だと診断されている人たちの改善食にはならないのですが、健常者の方々が、お味噌汁を1日3杯飲んでも、高血圧になる可能性はかなり低いようです。
お味噌に含まれるメラノイジンとは?
お味噌に含まれる栄養成分に「メラノイジン」という抗酸化成分が含まれますが、まだ聞き慣れない方も多いでしょう。
メラノイジンは、味噌の発酵過程で生成される成分で、味噌を仕込んで2年目ぐらいから急速に増え、食べ頃になります。
趣味でお味噌を造っている方は、2年熟成させると、この「メラノイジン」が現れるでしょう。
メラノイジンは抗酸化成分でもあるので、これから紫外線による活性酸素で肌や体内にダメージを受けやすくなる季節なので、美白のためにもしっかりと食べておきたいですね。
お味噌の取り入れ方
お味噌は、王道の味噌汁だけではなく、様々なお料理やスイーツにも使えますね。
- マーボー豆腐、マーボー茄子
- 焼きおにぎりのペースト
- お味噌と砕いたお好みのナッツ、少量の甘味料を加えて和え、パンやパンケーキのペーストに。お団子につけても美味です。
- 田楽味噌(豆腐、こんにゃく、なすに塗る)
- 冷麺のタレ、味噌ラーメン
- 素麺や冷やしうどんのタレ
- 小麦粉や米粉に混ぜて、クッキーや焼き菓子の隠し味に
- 味噌と少量の甘味料を入れて、アイスクリームやかき氷のソースに
- お肉や魚料理のソースに
1食分、大さじ1弱を目安に、1日3回いただくと、前述の「味噌汁3杯」に該当するでしょう。
さいごに
現代の病気は、主に生活習慣や食習慣が原因となっているので、日本人の体質にあいにくい欧米食に味噌を加えると、予防食になるかもしれませんね。
男性は和食好きの人がまだ多いですが、特に女性はオシャレ感に左右されて、パン食や欧米食に走るケースがあります。
お味噌は女性特有の乳ガンリスクも下げてくれるので、ぜひ飲む機会を増やしておきましょう。