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小説『感染領域』トマトを題材にしたミステリー

トマトを題材にしたミステリー小説『感染領域』をご存知ですか?
今年(2018年)2月に発売されて、すぐに増刷!
昨年(2017年)8月に発表された第16回『このミステリーがすごい』大賞(このミス大賞)の優秀賞に選ばれた、新人ミステリー作家の作品ですが、はじめて見る発想で最初から最後までドキドキの連続でした。

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トマトを題材にしたミステリー

最初はトマトを題材にしたミステリーだったので、「トマトに毒性はあったかな?」などと思いながら読んでいました。
以前から「小さいお子さんがトマトのヘタを誤って食べると中毒症状が出てしまう」という症例はありましたが、それではありませんでした。

また、日本のトマトの名産地といえば熊本県もその1つですが、2016年の熊本地震後のトマト農家の様子も描かれていていました。

物語の初めの方は、震災にあったトマト農家が、さらにトマトが何らかのウイルスに感染しているので、実のなったトマトを農林水産省の命令で、処分しなければならないという、厳しい状況に。

震災の苦しみを乗り越えた農家さんたちが、一生懸命に育てたトマトを処分する辛さがせつなくなりました。

トマトの種子がウイルス源?

小説のタイトル通り、ウイルスに感染したトマトは、熊本県だけではなく、徐々に九州全般、そして物語後半にかけて、近畿地方にも広がります。
このままだと日本全国のトマトが絶滅の危機に!?
というハラハラ感と共に、トマトの新種の研究を手掛けていた、日本の大手種苗会社の社員が、殺されるという殺人事件が発生します。
そして農学博士の主人公と、農林水産省の調べで、ウイルス源はこの種苗会社が販売しているトマトの種子を使っている農家に被害が出ていることがわかってきます。

人間への感染も懸念?

さらに調査を進めると、トマトなど植物特有のウイルスだと思っていたら、人間にも影響するのでは!? という懸念事項も明るみに!
犯人の目的は何か?
バイオテロなのか?
どうすれば、トマトに反応するウイルスが、人間の健康被害に影響するのか?
背景にはアメリカの巨大組織の影が?
などなど、シャーロックホームズがおびえるモリアーティのような存在も見え隠れするミステリー小説でした。

ミステリー小説は、実際には起こりえないけど、もしかしたら起こるかもしれない、という世界感が描かれるものですが、見事に描かれていました。

生物や生化学のお勉強にも

主人公たちがどうやって謎を解き、日本のトマト絶滅の危機を救うのか?

これ以上書くと、ネタバレになるので、この辺りで割愛しますが、筆者は大学で食物栄養学を専攻したので、苦戦した『生化学』や、高校生で勉強する『生物』の勉強にもなりました。
DNAやRNAの転写の説明を、トマトを題材に、一般読者にもわかりやすく説明が盛り込まれています。

理系の学生さんにもオススメな一冊でした。
ドロドロとした殺人シーンは描かれておらず、ホラー性は少ないので、普段ミステリーを読まない人にもオススメです。

さいごに

もしこのミステリーが現実に起こったとしたら、パンデミックとまではいかなくても、花粉症レベルの被害は起こるかも?
という現実に起こり得そうな可能性を匂わせている感じが、個人的には「このミス大賞」優秀賞の決め手になったのかな、と思いました。
次回作品が楽しみな新人くろきすがや氏(2人の小説ユニット)、皆さまもぜひ!