ブルーベリーやラズベリー、アサイーなどのベリー類にはアントシアニンが含まれることでお馴染みですよね。
そのアントシアニンにガン遺伝子を制御する作用が期待できるようです。
どういう過程でそうなるのか、フィンランドの最新研究を見ていきましょう。
アントシアニンとサーチュインの関係
東部フィンランド大学の研究報告によると、ベリー類に含まれている色素成分「アントシアニン」は、ガン細胞の中にあるサーチュイン6酵素の機能を上昇させることがわかりました。
サーチュイン6酵素とは、各細胞に存在する信号伝達経路の制御に関与して、ガン遺伝子の発現を制御する働きがある酵素のことです。
しかし、加齢などによって、このサーチュインの機能に変化が起き、様々な病気を引き起こすのです。
サーチュイン6酵素は、まだ聞き慣れない酵素ですが、体内では、グルコース代謝にも関わっています。
このサーチュイン6酵素の機能を高めるのが「アントシアニン」ということですが、アントシアニンにも様々な種類のものがあり、特に「シアニジン」という成分が有効なようです。
シアニジンの働きとは?
シアニジンは、もともと、悪性腫瘍を撃退する作用があることで知られています。
研究では、コンピューターによるシミュレーションで、植物中のアントシアニンを始めとするフラボノイド化合物が、いかに、サーチュイン6酵素の機能に作用するかを予測しました。
その結果、特にビルベリーやクロスグリ、コケモモなど、野生種のベリー類に含まれるアントシアニン中のシアニジンの作用が高かったようです。
この研究で、シアニジンを含むアントシアニン類はがサーチュイン6酵素の活性化を、いかに高めるかがわかり、今後、サーチュイン6酵素の機能を調整する新薬開発の基礎となるかもしれない、ということです。
※参考:『サイエンティフィックレポート』2018年5月
シアニジンまたはアントシアニンを含む食品とは?
前述の研究では、ベリー類の中でも、ビルベリーやクロスグリ、コケモモに含まれるシアニジンに最も期待できるようですが、日本では、手に入りにくいベリー類ですよね。
アントシアニン全般として見ても、ガン遺伝子の制御に結びつくようなので、いちご、ブルーベリーやラズベリー、アサイー、さくらんぼなど、これからの季節でも手に入りやすいもので摂取しておきましょう。リンゴやプルーンにも含まれます。
アントシアニン全般としては、他に黒豆、小豆、金時豆、赤米(黒米・古代米)、紫キャベツ、紫玉ねぎ、紫芋、なす、紫アスパラ、紫オクラ、赤紫蘇など、紫色の野菜や穀類、豆類、いも類に含まれます。
さいごに
アントシアニン色素は違う角度から見ると、抗酸化物質でもお馴染みで、こちらもガン抑制作用があるとして知られていますね。
また瞳のロドプシンに働きかけて、視力の維持や疲れ目予防にも期待できます。
アントシアニン色素は、ベリー類の摂取が一番期待できそうですが、果物を食べる習慣がない人は、黒豆や小豆などの豆類や紫色の野菜で、補っておきましょう。