地中海料理は、和食よりも先に『ユネスコ無形文化遺産』に登録されており、栄養バランスが優れていることでも知られていますね。
アメリカの最新研究で、腸内環境を良くする善玉細菌が増えることもわかってきました。詳細を見てみましょう。
地中海型食と西洋型食に使う食材の違い
アメリカのウェイクフォレストバプチスト医療センターは、20頭のカニクイザルを2つのグループにわけ、1つのグループには地中海型食、もう1つのグループに西洋型食を与え、2年半の経過観察の結果を研究報告として発表しました。
地中海型食として与えた食材は、魚油、魚粉、オリーブオイル、バター、卵、黒豆粉、ひよこ豆粉、小麦粉、野菜ジュース、果実ピューレ、砂糖などが含まれていました。
一方の西洋型食として与えた食材は、ラード、牛脂、バター、卵、コレステロール、高果糖コーンシロップ、砂糖などが含まれていました。
研究では、人間が食べる本格的な料理ではなく、両食事形態の代表的な食材を用いてサルのエサとして与えています。
※参考:『栄養学の最前線』
食材がこうして比較されると、地中海型食は魚や野菜、そして油分はオリーブオイルが中心です。そして豆類の摂取など、食物繊維が多いことがわかりますね。
一方の西洋型食は、バターやラード、牛脂など飽和脂肪酸と呼ばれる動物性食品が多くて、野菜や果物、豆類の摂取が少ないことがわかります。
地中海料理を取り入れると腸内が善玉菌優位に
研究では、2年半の間、対象となったサルたちの糞便を分析していましたが、その結果、地中海型食を食べていたグループは、西洋型食を食べていたグループと比較して、様々な腸内細菌が増えていることが発見されました。
そして善玉菌と呼ばれる、腸内環境を整えてくれる細菌は、西洋型食のグループでは0.5%しか存在しなかったのに対して、地中海型食のグループは、7%を占めていたそうです。
※参考:『栄養学の最前線』
動物実験の結果ではありますが、サルは人間と同じく霊長類で、生体構造が大変似ているので、人間も、地中海型食の食材を取り入れた食生活を送るようにすると、腸内環境が整うと言えるでしょう。
地中海料理の内容とは?
地中海料理とは、イタリア料理をはじめ、スペイン料理、ギリシャ、ポルトガルなど、ヨーロッパや一部の北アフリカなど地中海沿岸に昔から伝わる料理のことです。
肉食が意外と少なく、メインディッシュは魚介類が多く、他にオリーブオイル、ナッツ類、野菜、果物がふんだんに使われているのが特徴です。
魚介類や野菜を多く使う点では、和食と共通していますね。
地中海料理は魚介類から摂れるDHAやEPAなどのオメガ3系オイルやオリーブオイルの影響で血液循環がよくなり、主に心臓や血管にまつわる疾患の予防になると、以前から考えられていました。
動物性油脂(飽和脂肪酸)の摂取が少ないので、血液循環を悪化させる材料も少なく、ナッツや野菜などで食物繊維も多く採るので、腸内環境がよくなるのもうなずけますね。
さいごに
日本でもイタリア料理は人気ですが、パスタソース1つとっても、トマトや野菜、魚介類かふんだんに使われているものが多いですね。
パスタは炭水化物なので太るイメージがありますが、「炭水化物は油分と一緒に食べると血糖値が上がりにくい」という特徴もあるので、その点もオリーブオイルが使われているので、食後高血糖の心配は少ないでしょう。
ピザに関しては、本格イタリアンのものは、生地が薄く、トマトソースが多く使われています。
しかし宅配ピザや冷凍ピザに見られる、生地を厚くして、加工肉(サラミ、ベーコン、ハムなど)を並べたピザはアメリカ風にアレンジされたものなので、西洋型食と考えておいたほうが無難です。
スペイン料理の代表「パエリア」はたくさんの魚介類とご飯が使われているので、日本人の腸相にあいそうです。
和食中心の生活が好ましいですが、洋食が食べたいときは、地中海料理を選ぶようにして、善玉菌優位の腸内環境をキープしておきましょう。