わかめは1万年以上も前の貝塚からも発見されており、日本人にとっては、お米よりも古くから食べていたと想定される食材の一つです。
また、日本人全般のDNAの特徴に、世界で唯一、「海藻を消化できる腸内細菌を持っている」ことがわかっており、わかめを常食としていると、様々な病気の予防や健康維持、美容効果が期待できるかもしれません!?
わかめの栄養は緑黄色野菜なみ?
わかめは海底で育っているので、もちろん野菜には分類されないのですが、海底にもやはり土壌があるので、土から生えている植物のようなものです。
食物繊維やミネラル、そして機能性成分が多く含まれているなど、葉野菜と共通した部分も多いですね。
緑黄色野菜の場合は、色の濃い野菜に含まれるβ-カロテン量が基準となります。
β-カロテンはカロテノイドの1種として体内でビタミンA様として働き、体内の老化を防いだり、粘膜の健康維持などに貢献します。
一方のわかめにも「フコキサンチン」というカロテノイドの1種である成分が含まれ、β-カロテンと同じく、体内でビタミンA様として働くのです。
こうして見ると、わかめは緑黄色野菜と共通した部分が多いのです。
それに、生の野菜と違って、わかめは乾燥した状態で保存できるので、調理も簡単で、お値段もリーズナブル!
「野菜が不足しているなぁ」と思った日は、ワカメ入りの味噌汁をプラスするだけでも栄養補給になるでしょう。
わかめのヌルヌル成分、フコイダンに注目!
わかめのヌルヌルとした食感の正体は「フコイダン」という多糖類です。
血糖値に作用しない糖質の一種で、食物繊維として含まれています。
わかめをカットしたり、ペースト状にすることでヌルヌル感が増し、フコイダンの持つ働きを体内で最大限に利用することができます。
フコイダンの働きとは、まず体外からやってくるウイルスや外気(花粉、黄砂、PM2.5など)などを撃退してくれる免疫機能を健康に保つ作用が期待できることです。
そして細菌に感染してしまった細胞を死滅させてくれるナチュラルキラー細胞の活性も高めてくれるでしょう。
さらには、ダイエットの敵となる中性脂肪の蓄積を防いだり、胃の粘膜を保護し、ヌルヌル感を利用してピロリ菌を吸着して、排泄に向かわせるという働きにも期待できます。
フコイダンは細胞の生まれ変わりを促し美肌、健康体に!
そのため、フコイダンには、細胞のアポトーシス作用があるのではないか? と考えられています。
アポトーシスとは、細胞が生まれ変わる時に、古い細胞が自ら「自滅」することを言います。
細胞が生まれ変わらなければ、肌のターンオーバーも起こらないし、体内の老化が進むことになります。
そのためにも、わかめを食べて、フコイダンの力をかりると、体内から自然な形でアンチエイジング作用の恩恵が受けられることになるでしょう。
わかめは細かく刻むほどいい?
わかめには他にも、整腸作用を促すアルギン酸や、脂肪燃焼や甲状腺ホルモンを生成するヨードなども含まれています。
しかし食物繊維量が多いので、水で戻して食べやすい大きさにカットするだけではなく、細かく刻んだり、フードプロセッサーなどでペースト状にして、食物繊維をできる限り断ち切ると、様々な栄養成分が体内で有効利用されやすくなるでしょう。
ペースト状わかめの使い方
わかめの食べ方としては、食べやすい大きさにカットして、味噌汁の具や、海藻サラダにするのが一般的ですね。
しかし、わかめをペースト状にすることで、利用範囲が広がるでしょう。
トロロの代用として使うといいかもしれません。
ご飯にかけたり、納豆に混ぜたり、お好み焼きや卵焼きに入れたり、蕎麦つゆ(うどん、素麺)に入れたりするのです。
またトロロ昆布のように、温かい麺類に入れるのもいいですね。
さいごに
わかめを毎日大量に食べる必要はありませんが、海藻としては一番取り入れやすい食材ですし、ペースト状にはできなくても、カットわかめを取り入れる食生活は簡単に実現できることでしょう。
わかめのこうした栄養価を最大限に利用できるのも、日本人DNAが持つ海藻を消化できる腸内細菌のお蔭です。
おおいに利用して、健康や美容維持に役立てたいですね。
※参考:『食品機能学』Nブックス、建帛社