日本人女性の2人に1人は冷え性と言われており、原因の1つに鉄不足も挙がっていますね。
その鉄を食品から摂取していると、鉄の過剰摂取になることは、ほぼありませんが、意識してサプリメントから摂取量を増やしすぎていると、健康被害があることがわかりました。
詳細を見てみましょう。
鉄を過剰摂取するとどうなる?
サプリメントなどで、鉄を過剰摂取すると、常在菌でもあるサルモネラ菌などの細菌に対して、抵抗力が弱まり、感染症になりやすくなることがオーストラリアのインスブルック医科大学の研究でわかりました。
この研究では、「鉄を何から摂るか?」でも、検証され、食品やサプリメントから摂った鉄なのか、はたまた遺伝的に、鉄を蓄積しやすい体質からくるものなのか、などが調査されました。
それにより、感染症のリスク度にも関係があるようです。
日本では稀なケースですが、欧米では「ヘモクロマトーシス」という鉄の過剰摂取によって引き起こされる病気があります。
遺伝による、鉄を蓄積しやすい体質の人が大半を占めるようですが、最悪の場合、体内の各器官や組織を損傷してしまうそうです。
※参考:『細胞感染微生物学の最前線』
しかし、サプリメントなどで鉄を過剰摂取しすぎると、この疾患と似たような症状に陥るかもしれないので、鉄のサプリメントを利用している方は、摂取量を守るだけではなく、食事から鉄をたくさん摂った場合は、サプリの摂取を減らすなど工夫が必要かもしれませんね。
鉄が過剰になるとサルモネラ菌食中毒を悪化させる?
適量の鉄摂取は、貧血や冷え予防になったり、ビタミンCやアミノ酸類と共に、コラーゲン量を増やしたり、造血作用があったりと良い方面で利用されます。
しかし、鉄が体内にたくさんありすぎると、常在菌でもあり、そして食中毒の原因菌の1つでもあるサルモネラ菌を支えて、体内で増殖させる、という余計な仕事をして、私たちを苦しめる原因になるそうです。
特に夏はサルモネラ菌による食中毒が起こりやすいので、鉄サプリは考えながら摂取しましょう。
誤解のないように追記しますが、あくまで鉄を過剰摂取した場合のお話しで、鉄が悪いわけではありません。鉄の摂取が日頃から足りてない人は、適量をきちんと摂取してください。
遺伝性よりも鉄の過剰摂取の方がたちが悪い?
では、前述の研究のお話しに戻りましょう。
オーストラリアの研究では、サルモネラ菌に感染した2種類のマウスにより経過を観察しました。
【A】鉄の蓄積量が通常のマウスと、【B】遺伝的に鉄を過剰に蓄積したマウスです。
その結果、【A】のマウスの方が、食事やサプリメントなどで鉄を過剰に摂取した場合、【B】よりも感染症にかかりやすいことがわかったのです。
【B】のグループの場合、遺伝的に鉄が体内に蓄積されていますが、鉄はカラダ全体に分散されているのが特徴です。
そしてもう一つの特徴として、マクロファージ(細菌を食べてカラダを守る免疫機能)内には鉄がほとんど存在しないので、サルモネラ菌などの菌類が体内に入ってきても、きちんと攻撃して、食中毒を悪化させないそうです。
一方の【A】は、食事、特にサプリメントから鉄を過剰摂取した場合、マクロファージに鉄が浸入してしまうので、マクロファージが鉄の影響で機能が落ち、サルモネラ菌などを増殖させてしまうことがわかりました。
【B】の場合は、遺伝的な病気なので、感染症への抵抗力が、もとから弱そうに思いますが、実は通常の【A】の状態での鉄過剰摂取の方が危険ということなのですね。
さいごに
日本では「ヘモクロマトーシス」の罹患者自体が少ないので、ほとんどの人が【A】のグループに入ることになりますが、鉄の過剰摂取はくれぐれも気を付けたいですね。
鉄の推奨量や、上限量の詳細は、以下のページでご紹介しているので、ぜひご参照ください。
⇒ http://wbn-japan.com/06fe/
貧血や冷え性を気にしている人ほど、鉄のサプリの利用率が高いと思うので、1日の推奨量をくれぐれも守っておきましょう。