野菜や果物の原産国は、古代にまで遡るので、諸説が多く、なかなか限定できないのが現実です。
しかし!? サツマイモに関しては、現時点で世界最古と思わる化石がアジアで発掘され、今まで有力とされていた北米説よりも古いことがわかってきました。
詳細を見てみましょう。
サツマイモの原産国は東部インド、現在のアジア?
アメリカのインディアナ大学とインドの共同研究で、研究者たちは、東部インドから、サツマイモなどを含んだ、5,700万年前のヒルガオ科の植物の化石を確認しました。
この化石があった地域は、後にアジアの一部となる、暁新世後期の東ゴンドワナ大陸であったことを示唆していました。
これまで、サツマイモを含むヒルガオ科の植物の化石は、約3,500万年前の北米での化石が最古と考えられていましたが、今回の研究では、それよりも古い化石ということの裏付けになるようですね。
ヒルガオ科の植物とナス科の植物は元々系統が一緒?
現在の植物学ではヒルガオ科の植物と、ナス科の植物は別々に分類されていますね。
しかし、今回の発見で、両者がもともと、実は同じ科の植物で、ある時期に分離したという仮説が成り立つようにもなったそうです。
以前、約5,200万年前のナス科の植物の化石がアルゼンチンで見つかっていて、それ以後、ヒルガオ科の植物が東半球の地域で発達し、ナス科の植物が西半球の地域で発達していったので、もとはヒルガオ科とナス科の植物は同系列で、この時期に分離されたのではないか? と考えられていました。
ただ、その時点ではヒルガオ科の植物の最古の化石が、約3,500万年前の北米のものであったので、その仮説が成り立たなかったわけです。
そこへ、今回の研究で、5,700万年前のヒルガオ科の化石が発見されたので、その説が成り立つ可能性が高くなってきたようです。
5,700万年前の化石のナゾとは?
また、今回発見された5,700万年前の化石には、ヒルガオ科とナス科、両方の植物の初期の状態のものが確認されました。
ということは、以前から考察されていた、
「ヒルガオ科とナス科の植物はもとは同系列で、約5,200万年前に分離された」
という説がいよいよ成り立つ!? 発見につながったようですね。
ただ、今回発見された化石は、ヒルガオ科サツマイモ属の「葉」であったので、約5,700万年前に、現在のサツマイモの根(可食部)が存在していたかどうかは、まだナゾに包まれているそうです。
※参考:『国立科学アカデミー論文集』2018年5月
サツマイモの歴史が変わる?
農林水産省では、サツマイモの起源は、熱帯アメリカ説を取り入れていますね。
北米説と若干、地域が違いますが、冒頭で述べたように、野菜や果物の原産国は諸説が多いので、致し方ないことだと思います。
しかし、今回のインディアナ大学とインドの共同研究が発表されたことで、サツマイモの歴史の記述は、今後、変わってくるかもしれませんね。
サツマイモは日本の食糧難を救った
農林水産省のホームページにもあるように、日本にサツマイモが伝わってきたのは、1600年頃、中国から伝播されました。
その後、日本の気候風土にあったのか、鹿児島県をはじめ、茨城県などがサツマイモの名産地になりましたね。
サツマイモの名前は、鹿児島県(薩摩)からとられたものだということは周知の通りでしょう。
サツマイモは、こうした名産地もありますが、どんな土地でも育ちやすく、第二次世界大戦中や戦後の食糧難では、多くの家庭が、食料確保のために、庭先でサツマイモを栽培して、飢えをしのいでいたと伝わっていますね。
高齢者の方の中では、サツマイモを見ると、感謝の意を表す方も多く、筆者の亡き祖母もその一人でした。
さいごに
こうしてサツマイモの歴史や、新たな化石発見のお話しを聞くと、サツマイモにロマンを感じてしまいますよね。
サツマイモは、秋冬のイメージがありますが、夏でも手に入りやすい芋類です。
今の時期には、少し暑苦しく感じるかもしれませんが、一度蒸してから、冷やして食べると、天然の甘味が程よく、ビタミンC補給にもなるのでオススメです。