日本人は女性や高齢者を中心にタンパク質の摂取量が少ない人が多いと言われていますね。
肉食で高タンパク質なのも問題ですが、タンパク質性食品の摂取が少なすぎても、逆に筋力が蓄えられず、老化が進み、特に高齢者では、障害のリスクが高まるかもしれません。
イギリスの最新研究の詳細を見てみましょう。
タンパク質不足は日常生活が億劫に?
イギリスのニューカッスル大学の最新研究で、特に高齢者では、食事からタンパク質の摂取量が十分であると、摂取量が不足している人よりも、障害の発生が有意に低くなることがわかってきました。
高齢になると、今まで当たり前のようにできていた食事や入浴、身支度、トイレに行く、そして掃除や洗濯などの家事、家計のやりくり、生活に必要な買い物、地域の活動や習い事などの社会活動が億劫になってきます。
こうした日常の活動は、日頃の食事からタンパク質食品をキチンと適量食べているか否かにかかっているようなのです。
また、こうした日常の活動が億劫になりはじめると、身体機能や認知機能が低下して、障害が出てきているサインとも言えるのです。
特に高齢者は適量のタンパク質を食べること!
研究ではイギリスの地域ごとのデータを解析した結果、北東イングランドの高齢者約30%に、タンパク質の摂取量不足が見られ、この地域の高齢者に、高齢者特有の障害が多いことを突き止めました。
また5年間の追跡調査を行ったところ、その間に高齢者特有の障害が増加していることも発見。
研究者たちは、特に女性や高齢者は、国が推奨するタンパク質量を、日頃の食事から補っておくことで、カラダの機能障害や、老化、認知機能の低下などが、有意に防げると忠告しています。
※参考:『米国老人医学会雑誌』2018年11月
これはイギリスの研究ではありますが、日本でのタンパク質の推奨量は、どうなっているのでしょうか?
男性で1日60g、女性で50gとなっています。(成人、高齢者共通)
ただ、タンパク質食品の重さが、イコール「タンパク質量」ではないので、次の項を参照に、タンパク質食品を適量摂るようにしましょう。
食品に含まれる「タンパク質量」とは?
- 魚介類(食品100g中)
鮪(まぐろ)赤身:26.4g、鰹(かつお):25.8g、鯵(あじ):20.7g、秋刀魚(さんま):18.5g - 肉類(食品100g中)
鶏むね肉:24.4g、豚ヒレ肉:22.8g、牛もも肉(赤身):20.7g - 乳製品(食品100g中)
プロセスチーズ:22.7g、ヨーグルト:3.6g - その他(食品100g中)
高野豆腐:49.4g、納豆:16.5g、卵:12.3g
となっています。
こうしてみると、近年「レジスタントタンパク」(レジスタントプロテイン)として注目の高野豆腐の含有量が高いようですね。
高野豆腐なら、高齢者でも食べやすいですし、ベジタリアンの方でも取り入れやすいでしょう。
それにお肉のように脂質とセットになっていないところも嬉しいですね。
さいごに
「高野豆腐を食べましょう」というお話しではありませんが、特に高齢者は消化管も弱ってくるので、人によってはお肉を食べると、消化や吸収に時間がかかり、カラダに負担となる場合もあります。
なるべくカラダに優しい魚介類や大豆製品、そして少しの肉類や乳製品を組み合わせて、タンパク質が不足しないよう、取り入れておくと、高齢者だけでなく、筋力の少ない女性やお子さんの健康もキープできるでしょう。