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低タンパク高炭水化物の方が脳にいい? 豪・研究

糖質オフのブームで、高タンパク高脂質の食事が推奨されていますが、オーストリアの最新研究発表で、その逆の低タンパク高炭水化物食の方が長寿につながり、全身の健康と、特に脳の健康を支えるカギとなることがわかってきました。
高炭水化物食がいいと言っても、スイーツ三昧が推奨されているわけでありません。
しかし、無理にご飯やイモ類を控える必要はなさそうです。
詳細を見てみましょう。

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低タンパク高炭水化物は低カロリー食に匹敵する?

オーストラリアのシドニー大学の研究によると、まだ動物実験の段階ではありますが、低タンパク質と高炭水化物食の組合せが、カロリー制限食を実施した時と、ほぼ同様の健康効果を示すことがわかってきました。特に脳の健康に対して顕著なようです。
長寿食の観点では、生活習慣病予防のために、「カロリー制限食」が推奨されており、欧米ではその研究が100年も前から続いている歴史ある食事法です。
しかし、先進国の多くは、「飽食の時代」と言われるように、豊富な食べ物が自由に入手できるので、カロリー制限食の実現に苦労する人が多く、なかなか成功できないのも現実です。

しかし、医療施設や高齢者施設などで管理のもと、カロリー制限食を厳格に実施すると、特に記憶に関与する脳の領域が活性化し、記憶力や認知力が高まることが古くからの研究でわかっています。

ところが、シドニー大学の研究で、低タンパク高炭水化物の食事で、それと同様の現象がマウスの脳で確認されたのです。

カロリー制限食は、高齢者だけではなく、ダイエット目的やメタボ対策で実践する人も多いですが、リバウンドで悩む人が多いように、やはり挫折してしまいますよね。
そういった人たちには、この研究発表は朗報となるかもしれません!?

低タンパク高炭水化物の食事内容とは?

以前から、「脳の栄養は糖分」と言われるように、脳はグルコースを必要としていますね。
低タンパク高炭水化物食は、「タンパク質を摂らない」という意味ではありません。
タンパク質は脂肪分の少ない魚や大豆、植物から摂り、特に牛肉を減らし、肉類を最小限にすること、そして炭水化物はサツマイモなどいも類の摂取を増やすといいようです。

研究者たちは、世界中の低タンパク高炭水化物食の形態となっている食文化も研究しており、地中海食や日本の沖縄地方で食べられている食事法がこれに該当すると述べています。

確かに地中海食は、パスタやジャガイモで作るニョッキなど、いも類も程度に取り入れた高炭水化物食で、タンパク源は、海の幸を豊富に含んだ魚介類のメインディッシュが特徴ですよね。

そして沖縄料理は、豚肉のイメージがありますが、魚介類の摂取も多く、また豚肉も蒸し豚など調理の際、脂を落とす食べ方が多いので、意外と低タンパクのようです。
また、沖縄の人は、サツマイモの摂取量も多いようで、いも類からの炭水化物摂取が脳やカラダの健康を維持しているようです。

低タンパク高炭水化物食は記憶・学習力がUP

シドニー大学の研究では、食事と脳の関係を評価するために、低タンパク高炭水化物食を与えたマウスの脳の領域を調査しました。

そうすると、学習と記憶を司る「海馬(かいば)」という脳の領域の健康促進につながったそうです。
※参考:『細胞レポート』2018年11月

アルツハイマーや、認知症が進むと、一番最初に「海馬」の領域が悪化し、物忘れや記憶が無くなっていきます。

高齢者だけではなく、若年層の人たちも、海馬の健康維持に努めていると、物忘れを予防したり、記憶力や学習力がUPするので、肉類を控えて魚や大豆製品をとり、そしていも類の摂取も増やしてみましょう。

さいごに

本来の和食も、魚や大豆製品でタンパク質を摂り、ご飯やいも類も毎日食卓に並んでいました。
日本人の場合は、古来からの和食に戻せば、脳やカラダの健康維持が難なくこなせると考えられますね。