世界的に見ると人口増が問題になっていますが、日本のように一部の国では少子高齢化が進み、不妊治療も一般化してきましたね。
スペインの最新研究で、不妊の問題は、女性側だけではなく、男性側の食生活や生活習慣による栄養不足も原因の1つだということがわかってきました。
男性の精子の質の低下してきている?
不妊症は世界保健機構(WHO)の調べによると、世界人口の約15%の人たちがその問題に苦しんでおり、世界的規模で改善が必要な健康問題としています。
特に発展途上国の各国を調査すると、精子の質が著しく低下しており、「これは人類の種の保存に関わる問題」と多くの研究者たちが注意喚起を呼びかけているそうです。
精子の質の低下の原因は様々な要因が考えられますが、不健康な生活習慣と食生活が大きな原因として挙げられています。
不健康な生活習慣とは、ストレス、喫煙、アルコール、麻薬、そして栄養が不足した不健康な食生活、とされています。
精子の質を上げる栄養成分とは?
日本などの先進国では、不妊治療を実施しているクリニックで、患者に食事療法やサプリメントを推奨しているところも多くなってきています。
実は、精子の質と食べ物やサプリメントによる栄養成分の関連のエビデンスはまだ少なく、疑問視する声も多く上がっていました。
そこで、スペインのロビラ・イ・ビルジリ大学とぺレ・イ・ビル研究所、メキシコのグアダラハラ大学の共同研究で、精子の質と栄養成分の関連が調査されました。
この研究では、精子の質と栄養成分の関連が報告された28の研究結果のデータをもとに、2900人分の調査データが解析されています。
その結果、以下の栄養成分が必要であることがわかったのです。
- 精子の数の増加:オメガ3系脂肪酸、コエンザイムQ10
- 精子濃度の上昇:セレン、亜鉛、オメガ3系脂肪酸、コエンザイムQ10
- 精子の運動性の向上:セレン、亜鉛、オメガ3系脂肪酸、コエンザイムQ10、カルニチン
- 精子の形態の向上:セレン、オメガ3系脂肪酸、コエンザイムQ10、カルニチン
研究者たちは、精子の質が、生まれてきた子どもの自然で健やかな成長の可能性を高めるかどうかは、まだ関連が詳細にわかっていないが、早急にその関連も調査し、妊娠には女性側の健康状態だけでなく、男性側の健康状態も改善すべきだと述べています。
※参考:『栄養学の進歩』2018年11月
どんな食品から必要な栄養成分が摂れる?
研究ではこれらの栄養成分はサプリメントからの摂取でも精子の質を高めるだろう、と推測されていますが、できればきちんと食品から摂りたいですよね。
オメガ3系脂肪酸とコエンザイムQ10は全ての項目に上がっているので、妊活中の男性は不足のないように摂取しておきましょう。
- オメガ3系脂肪酸を含む食品
魚介類やエゴマ油・亜麻仁油などでDHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸の摂取を増やしておきましょう。 - コエンザイムQ10
ブロッコリー、レバー、米ぬか、アボカド、ピーナッツ、ほうれん草、大豆、さば、いわしなどに含まれています。 - セレン
マグロ、カツオ、大豆、チーズ、高野豆腐など - 亜鉛
レバー類、ウナギ、卵、スピルリナ、ルイボスティー、タコ、牡蠣、羊肉、納豆、ホタテなど - カルニチン
鶏肉、羊肉、豚肉、マグロ、鮭など
こうして見ると、肉食よりも、魚介類を程度に取り入れた食事の方が、男性の体内環境も整いそうですね。
さいごに
不妊治療は、まだまだ女性側の健康状態ばかりが問題視されていますが、男性側の健康状態の研究が進むと、不妊症の問題は改善に向かうかもしれませんね。