忘年会シーズンですき焼きや焼肉、しゃぶしゃぶなど赤身肉を食べる機会が多いことでしょう。
たまのご馳走で食べる分には問題はありませんが、赤身肉を、日頃の食事で定期的にとり入れている人は、腸内細菌に悪影響が及び、腎臓を経由して、心血管疾患のリスクを高めることが、アメリカの最新研究でわかってきました。
年末年始は、暴飲暴食による急患も多くなる時期なので、気を付けておきたいですね。
赤身肉が及ぼす腸内細菌への悪影響とは?
以前から、牛肉や豚肉の赤身肉に含まれるコリン、レシチン、カルニチンを大量摂取すると、腸内細菌が消化中に「トリメチルアミン N-オキシド(TMAO)」という副産物を生成し、それが心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患につながる可能性がある、と指摘されていました。
その説を証明するかのように、アメリカのクリーブランドクリニックの研究調査で、有意に赤身肉が、心血管疾患に悪影響を与えていることがわかってきたのです。
このクリニックでは、113名の患者の食事調査を行い、患者たちに、赤身肉(牛肉・豚肉)、白肉(鶏肉・魚介類)、肉以外(大豆製品や豆類のタンパク源)のいずれかのタンパク質食を摂取してもらいました。
どのタンパク源の場合も、タンパク質のエネルギー比率を25%となるよう食事が献立されています。
その一ヶ月後、患者たちのTMAOを測定したところ、赤身肉を食べた後のみ、血中や尿中のTMAOの数値が上昇したそうです。
比較すると、白肉や肉以外のタンパク源を摂取した後よりも3倍以上も上昇していたということです。
※参考:『欧州心臓雑誌』2018年12月
TMAO濃度が上がるとなぜ危険なの?
「トリメチルアミン N-オキシド(TMAO)」は、前述のような過程で腸内細菌の副産物として生成されると、まず腎臓からの排泄を抑制します。
それが災いして血中や尿中のTMAO濃度が上がり、やがて腎臓の機能そのものを弱らせ、また負の連鎖で、血管系に災いをもたらし、心筋梗塞、脳卒中、早死など、命にかかわる病気へと発展していきます。
さいごに
TMAOは赤身肉の摂取を控えれば、生成されにくい物質なので、普段の食生活で、お肉と魚を交互に食卓に並べているご家庭でも、お肉の頻度をさらに減らすか、鶏肉や魚介類の摂取回数を増やした方がいいでしょう。
牛肉はL-カルニチンで、美容効果などが期待できると知らていますが、摂り過ぎは災いをもたらすようですね。