野菜&果物の美養栄養学

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食物繊維の摂取量が多いと脳のアンチエイジングに?

日本では高齢化が進み、高齢者人口増加に伴う、病気や環境が社会問題になっていますね。
特に高齢者特有の「認知症」は脳の老化に伴うものですが、アメリカの最新研究で、食物繊維の摂取量が多いと、脳の老化を防ぎ、脳のアンチエイジングになることがわかってきました。
高齢者の方だけではなく、食生活や生活習慣が悪いと、脳の認知機能は炎症を起こして、老化が進んでしまうので、若年層の方も、大いに参考になる研究発表です。

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脳に炎症が起きると認知機能や運動機能が低下

加齢や、偏った食生活、喫煙や飲酒などの生活習慣が災いして、脳の免疫細胞が慢性的に炎症し続けると、有害な化学物質が脳内で産生されて、認知機能や運動機能が低下していきます。
これを「脳の老化」とも言いますね。
ある程度の炎症は、加齢と共に起こるものなので、仕方のないことかもしれませんが、脳が老化するスピードは遅らせたいものです。

しかし、食物繊維を日頃の食事からたくさん摂取していると、脳の老化スピードが遅くなることが、アメリカのイリノイ大学の動物実験でわかってきました。

食物繊維はまず、腸に働きかける!

食物繊維の摂取量を増やすと、まず腸内環境が改善されるのは、周知の通りでしょう。
それは、腸内に潜む善玉菌が食物繊維をエサとし、それを消化すると酪酸塩など「短鎖脂肪酸」を産生して、腸内やカラダ全体の環境を良くしてくれることにあります。
その善玉菌が産生してくれた「酪酸塩」に脳の免疫細胞の1種「ミクログリア」の炎症を防ぐ作用があることが、この研究でわかってきました。

これまでの動物実験では、酪酸塩を薬剤から投与して、その作用があることが確認されていましたが、メカニズムまでは解明されていませんでした。

しかし、今回の研究で、老年のマウスに、食物繊維を多く含んだエサを与えたところ、薬剤を投与しなくても、腸内で酪酸塩が産生され、脳の炎症が防げていることが判明したのです。

酪酸塩は食事から食物繊維を多く摂ることで摂取できる

薬剤での酪酸塩は、嫌なにおいがするため、人間が好んで摂取できるような代物ではないそうです。
野菜や果物、穀類などに含まれる食物繊維にも、もちろん酪酸塩は含まれていません。
しかし、食物繊維を摂取して、腸内に入ると、善玉菌がそれを食べ、消化する時に、自然と酪酸塩をせっせと産生してくれるので、私たちはその恩恵にあやかれば、わざわざ酪酸塩を摂らなくても良い、ということなのですね。

高脂肪高タンパク食では酪酸塩は産生しにくい?

研究者たちは、近年世界中でブームになっている「糖質オフ」ダイエットで高脂質・高タンパクの食生活が一部で推奨されていますが、そのような食生活では食物繊維が不足するので、腸内で酪酸塩は産生されず、脳の老化が進むとも述べています。

カギはあくまで「食物繊維の摂取」のようですね。

年齢に限らず高食物繊維食が頭脳明晰のカギ!

また、イリノイ大学の実験では、老年マウスだけではなく、若いマウスにも食物繊維が豊富なエサを与えて実験を行っています。

そうすると、年齢に関係なく、食物繊維を多く摂取しているマウスは、腸内で酪酸塩や短鎖脂肪酸のレベルが高く、腸も脳の炎症も少ないということです。

しかし、低食物繊維食の老年マウスは、腸の段階で炎症を起こしてしまうので、当然、脳にも影響して、認知機能が衰えていったそうです。
若いマウスでは、低食物繊維食でも、腸の炎症は起こさなかったものの、酪酸塩など、脳にいい影響を与える成分の分泌は、高食物繊維食の老年マウスよりも少なかったようです。

こうしてみると、年齢に限らず、食物繊維をきちんと摂取していなければ、脳にいい影響を与える成分が腸内で生まれないので、脳の健康は守れないのかもしれませんね。

高齢になるほど食物繊維を多めに取ろう!

この実験で、研究者たちが注目したのは、老年マウスに食物繊維を与えたところ、みるみるうちに、腸の炎症が劇的に改善されたということです。
腸に炎症が起こってしまうと、善玉菌は活躍できないので、重要ですよね。

そして実験に参加した老年マウスの統計を取ると、脳の免疫細胞「ミログリア」の炎症を防ぎ、活性化されたのは、圧倒的に高食物繊維食のマウスたちだったそうです。

マウスは人間と生体構造が大変似ているので、世界に向けてこのような研究が発表されたわけなので、私たちも、食生活を大切にして、食物繊維はきちんと摂取しておきたいですね。
※参考:『免疫学の最前線』2018年8月

善玉菌にエサをあげよう!

私達は、実際に目で見ることはできませんが、全ての人が腸内細菌を飼っているようなものです。
大切な善玉菌にもきちんとエサを与えてあげたいですよね。
日頃の食生活で野菜や果物、大豆製品、未精製の穀類(玄米、全粒粉小麦粉、雑穀類)を食べるだけで善玉菌のエサになるのです。
また、てんさい糖や加熱調理した玉ねぎやネギなどに含まれるオリゴ糖、ご飯が覚めていく過程で産生されるレジスタントスターチ、そして高野豆腐に含まれるレジスタントタンパクも、食物繊維様として、善玉菌のエサになります。

これらを食べて、善玉菌にエサをあげれば、酪酸塩を産生して、今度は、私たちの脳に潜む免疫細胞「ミクログリア」を活性化させて、認知機能や運動機能を守ってくれるのです。

こうしてみると、食生活を大切にしようと思えてきませんか?