高血圧が健康診断などでわかり、早期治療を始めても、心疾患の発症リスクは低下していないことが、ドイツの最新研究でわかってきました。
理由は高血圧だとわかっても、生活習慣を改めない人が多いからだとか!?
詳細を見てみましょう。
冬の高血圧は危険?
高血圧だと診断された人は、冬の温度差を起因とする明け方、入浴時などに脳梗塞や心筋梗塞で、急死するケースが多くなりますね。
こうした事態を避けるためにも、高血圧は、早期治療が進められていますが、薬を飲むだけでの治療では、心疾患の発症リスクは低下しないことが、ドイツのミュンヘン工科大学の最新研究でわかりました。
このドイツの研究では、アメリカ心臓病学会の新基準「高血圧治療ガイドライン」を基に「ステージ1高血圧」のドイツ人患者のデータを解析。
ドイツをはじめとする「欧州心臓病学会」では、「ステージ1高血圧」の区分がなく、「正常高値血圧」とされ、特別な治療が推奨されていないため、アメリカの心臓病学会のガイドラインを基に調査したそうです。
高血圧の早期治療は心疾患の予防になっていない?
研究では約12,000人のドイツ人患者のデータを用いて解析した結果、「ステージ1高血圧」の患者は、正常血圧の人たちと比べて、心血管系疾患の死亡リスクはさほど高いわけではありませんでした。
しかし、ステージ2に進んでいる患者のデータを解析すると、喫煙や不規則な生活など、死亡リスクが高まるような生活習慣が多く見らたということです。
欧州のガイドラインではステージ1の初期段階は「正常範囲内でやや高めの血圧」、と診断されるため、この段階で薬の治療をしても、心疾患のリスク低下にはつながらず、まずこの時期に、食生活や喫煙などの生活習慣を改めなければ、ステージ2へと悪化してしまう、とのこと。
そのため、研究者たちは、欧州でも「ステージ1高血圧」を設け、生活習慣を改める注意喚起が必要だと述べています。
高血圧は躁うつ病になりやすい?
また、研究では、高血圧のステージが高くなると、躁うつ病になりやすく、特に薬物治療をしている人は、有意にその確率が高くなるとのこと。
薬物治療を受けていない高血圧患者の躁うつ病リスクは1/3の確率でしたが、薬物治療を受けている高血圧患者では、半数以上が躁うつ病になっていたのです。
これは薬の副作用なども考えられますが、原因としては「ラベリング効果」との見方が強いそうです。
※参考:『欧州心臓雑誌』2018年11月
ラベリング効果とは?
「ラベリング効果」とは、薬物治療が始まると「自分が正式な病人だ」という自覚が芽生え、そのストレスから精神状態がおかしくなり、躁うつ病に発展することを言います。
これは高血圧に限ったことではありませんが、持病など長期にわたって薬を飲み続ける疾患を患っている人は、躁うつ病に発展しやすいということでもあります。
多くの持病は、生活習慣が起因していることが多いので、そのためにも、喫煙や暴飲暴食、運動不足、睡眠不足などの生活習慣は、早めに改めておきましょう。
高血圧はアメリカでも欧州でも増加傾向?
米国心臓病学会の試算では、高血圧と診断される米国成人の割合は、現在の32%から46%に増えると予測されています。
そうすると、精神疾患に悩む人も、それだけ増えることになり、そして心血管系の死亡リスクも高まることになります。
現在は、アメリカのガイドラインが基準となることが多いため、これは欧米だけでなく、世界規模で問題となりそうですね。
さいごに
日本でも、年々、高血圧の人口は増加傾向です。
ファストフードを始め、暴飲暴食や喫煙、ストレス、睡眠不足は早めに改めておきたいですね。
特に年末年始は暴飲暴食に走りやすい時期。
食生活も、ジャンクフードの利用を出来る限り抑え、野菜や穀類、海藻など、食物繊維やビタミン、ミネラルを多く摂る食生活を心がけてみましょう。