野菜&果物の美養栄養学

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我慢できない食欲はグレリンとドーパミンが関与?

お料理を見たり、美味しそうな匂いが漂ってくると、食べ物をつい買ったり、食べたりしてしまう経験は誰にでもあることでしょう。
これは胃から分泌される「グレリン」というホルモンの影響だと言われていますが、カナダの最新研究で、このホルモンが、どのようにヒトの摂食行動に関与するかの詳細が発表されました。

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ヒトの食欲はグレリンと脳のドーパミンが関与?

カナダのモントリオール神経学研究所とマギル大学の共同研究で、胃から分泌されるホルモン「グレリン」がドーパミンの産生を促し、私たちの食欲を刺激していることがわかってきました。

ドーパミンとは、スポーツや勉強のやる気UPを司る脳の中枢神経の1つとして有名ですよね。

このドーパミン、生理学上では「報酬反応に関わる神経伝達物質」とも言われており、ヒトの喜びの感情などにも関与しています。
食べ物を見たり、匂いを嗅ぐと「美味しそう!?」と思うのも、一種の喜びや楽しみで、「報酬反応」になるということですね。

グレリンはどんな状態で分泌される?

グレリンは1999年に日本の研究者たちが発見した胃から分泌されるホルモンです。
一般に、空腹時(絶食時)の胃の中から分泌され、その時のグレリンの血中濃度は高くなります。
グレリンは成長ホルモンを促すなどの良い働きもあるのですが、食欲を増進させるという働きもあるので、空腹時間が続くと、その後、いわゆる”ドカ食い”をしやすいので、肥満になりやすいという欠点もあるのです。

近年のダイエットは、グレリンの長所を活かして空腹時間を長く設ける”プチ断食”と、グレリンの短所(ドカ食い)を抑えるため、数時間置きにカロリーや脂質の低いものをちょこちょこと食べる「空腹時間を短くする」方法に二分されている傾向があります。

どちらがいいかは、それぞれ論説も発表されていますし、賛否両論があるので、個人がどれを選択するかによってきますが、肥満の治療では、グレリンの影響が少ない方がいいと考えられることが多いようです。

実際にグレリンの血中濃度が高いとどうなるの?

カナダの研究のお話に戻しましょう。
本研究では、38人の研究対象者にグレリンの血中濃度を高めるため、予め、ホルモン注射でグレリンを投与して経過が観察されました。

その結果、様々な角度からMRIで脳の状態をスキャンすると、料理の写真を見た後と、食べ物の匂いを嗅いだ後に、報酬反応が強く出ることがわかったのです。

すなわちドーパミンの分泌が高くなったということですね。

研究者たちは、肥満は心臓病や糖尿病の引き金になるので、肥満やその予備軍の人たちは、グレリンの存在に注意しなければならない、と述べています。

※参考:『細胞レポート』2018年12月

さいごに

グレリンの存在は、空腹時間が長引くと、猛烈に食欲を感じてしまうので、その後のドカ食いが心配ですよね。
しかし、もしこの食欲に打ち勝てるなら、ドーパミンの分泌で、ヤル気UPなどにつながるかもしれません!?

一般に、記憶力を高めたり、集中力を要する勉強や仕事は、空腹時の方が捗ると言われているので、受験生の追い込みや、スポーツの練習時に、うまく活用してみるのもいいでしょう。