カラダを維持するのに、食事からの塩分摂取でナトリウム濃度を保つことは大切ですね。
しかし現代人は塩分を摂り過ぎていて高血圧や肥満などの原因になっています。
ナトリウムの排泄にはカリウム摂取が必須で、このバランスが保たれるとカラダの状態も良くなります。
カナダの最新医学研究でこのナトリウムとカリウムのバランスについて学習してみましょう。
ナトリウムとカリウムのバランスが循環器疾患を救う?
カナダのマクスター大学の研究で、尿中に排泄されたナトリウムとカリウムの量を調べ、循環器疾患との関連と、全死亡原因の関連が調査されました。
その結果、ナトリウムの排泄量が1日に3~5gあった上で、カリウムを多く摂取した場合、循環器疾患の発症リスクも、死亡リスクも低いということがわかりました。
食塩(ナトリウム)とカリウムの摂取量とは?
現在の食塩とカリウムの摂取量は、国によって微妙に違ってはいますが、だいたいどこの国も世界保健機構(WHO)の基準にあわせており、成人の食塩摂取量は2.0g未満、カリウム摂取量は3.5g以上とされています(WHO推奨)。
今までの研究発表では、ナトリウム摂取量が多いと死亡リスクが高まるという報告が多く上がっており、それに反して、総じてカリウムの摂取量が低いこともわかっています。
また、これまでの研究報告では、ナトリウムの摂取過多と病気の関係、カリウムの摂取量の多さと健康の関係など、ナトリウムとカリウムは、別々に研究されていることが多かったのですが、今回のカナダの研究では、ナトリウムとカリウムが一緒に観察研究されました。
ナトリウムとカリウムの理想バランスは?
今回の研究では、世界各国の18もの研究をもとに検証され、空腹時の尿検査のサンプルも約10万4千人分となっています。
そのデータの統計の結果、以下の3つのグループに分けて検討されました。
◎ナトリウムの尿中排泄量(推定)が、
- 【A】1日3g未満
- 【B】1日3~5g未満
- 【C】1日5g以上
の3つです。
そしてカリウムの排泄量は、中央値である1日2.1g以上と、1日2.1g未満の2つとしました。
この結果、世界保健機構が推奨するナトリウム排泄量と推定カリウム摂取の基準値を満たしている人は、なんと0.002%しかいなかったそうです。
ほとんどの人が、ナトリウムとカリウムのバランスが理想的ではない、ということですね。
食塩摂取と死亡率の関係は?
ナトリウム摂取量をカリウムと組み合わせた上で、上記のグループ別に比較すると!?
- 【B】グループが、循環器疾患の発症リスクと死亡リスクが一番低い。
- 【C】グループのように食塩摂取が多くても、カリウムの摂取が多ければ、循環器疾患の発症リスクは、さほど上昇しない。
という結果になったそうです。
野菜からカリウムを摂取しておこう!
研究者たちは、例え塩分過多の食生活を送っていても、カリウムの摂取量が多ければ、死につながる重篤な病気にはかかりにくいので、カリウムの摂取を増やすことが大切だと述べています。
※参考:『英国医学雑誌(BMJ)』2019年3月
カリウムはほとんどの野菜や果物に多く含まれています。
野菜の場合は生でも加熱調理されたものでもOKです。
外食が多くても、サラダや野菜の小鉢を追加するなどしてカリウムを補っておきましょう。
お料理する手間が省けるので、適宜、果物を補給しておくのもいいですね。
体内が塩分過多の状態だと、血液もドロドロとなり、様々な健康被害が及びます。
やがて死につながることになるので、野菜や果物の摂取は大切な習慣だと心得ておきたいですね。