先日に引き続き、女性高齢者に多い「フレイル」に関して、オランダから最新の研究が発表されました。
「食事の質」でリスクが左右されるようです。
詳細を見てみましょう。
「食事の質」によってフレイルのリスクが変わる?
フレイルの予防食として、食事から良質のタンパク質をとるといい、という研究発表が多い中、オランダのアムステルダム自由大学の研究では、ズバリ「食事の質」が左右する! という研究発表があがってきました。
研究では、アメリカの「健康、加齢、体組成研究」プログラムに参加した70~81歳の高齢者、約2,200名のデータを対象に、食事内容とフレイルのリスクを三段階で評価して、統計を取りました。
4年間の追跡調査の結果、そのうち約280名がフレイルと診断されています。
「食事の質」が乏しいとフレイルのリスクがUP?
調査では、「食事の質」は、
- 乏しい(poor)
- 中程度(medium)
- 良い(good)
の三段階で評価されています。
結果は、1の「乏しい(poor)」食生活の人たちは、3の「良い(good)」の人たちと比べて、92%フレイルのリスクが高いことがわかりました。
同様に2の「中程度(medium)」の食生活の人たちは、3の人たちと比べて40%フレイルのリスクが高かったそうです。
そして、フレイルの研究でよく注意喚起が促されている、タンパク質の摂取量については、この研究に関しては関連が見られなかったとのことでした。
食事のバランスが大切
研究者たちは、タンパク質とフレイルの関連は、多くの研究報告があがっていますが、単一の栄養素だけに特化するのではなく、全体の食事バランスが整ったものが「食事の質」が良い(good)となるので、そこが重要だと述べています。
※参考:『米国老人医学会雑誌』2019年6月
ここでいう乏しい(poor)食生活とは、高齢者の場合、食べ物をキチンと噛んで飲み込む「咀しゃく・えん下機能」という一連の動作が弱くなるため、栄養がとれていない状態をさします。
高齢者の食事は工夫が大事
高齢者の場合、義歯を装着していることもあるので、硬いものはだんだんと食べられなくなります。
なので、お肉ならステーキよりもハンバーグやつくね、魚も骨なしのものでほぐしたものにするといいでしょう。
また、リゾットや雑炊に、フードプロセッサーなどで細かくした野菜類、そしてミンチ肉、魚のほぐしたものを入れると、バランスのとれた食事が、食べやすい形で補給できます。
赤ちゃんの時の離乳食をイメージするといいでしょう。
さいごに
いろんな情報が錯乱していますが、健康維持には、やはり特定のものだけを摂る「ばっか食べ」ではなく、全体の食事バランスが大切ですよね。
高齢者がいらっしゃるご家庭では、ミキサーやフードプロセッサーがあると、野菜を食べやすい形で食せるのでオススメです。
ちょっとした工夫で、いつかは迎える「高齢期」の食事対策も覚えておきたいですね。