高齢者特有の疾患の1つとして対策が懸念されている「フレイル」ご存じですか?
まだまだ聞きなれない病名かもしれませんが、加齢とともに、筋力が衰え、何をするのもおっくうになり、家に引きこもりがちになり、ますます体力が弱まる病気です。
この発症率が、世界で初めて発表になりました。
オーストラリアの最新研究を見てみましょう。
60歳以上のフレイル発症率は1年で4.3%
オーストラリアのモナッシュ大学の研究によると、60歳以上のフレイルの発症率は、世界規模で1年平均4.3%ということがわかってきました。
今まで、フレイルは要介護の前段階として現れる、筋力の衰えや心身活動の低下、ストレスダメージからの回復力の衰え、などの症状として認識されていましたが、発症率が調査されたのは、世界ではじめての試みなのだそうです。
そして男性よりも女性に発症が多く、研究対象となった28ヶ国のうち、12万人に上るということです。
また、対策を打たなければ、2050年までに世界人口の約20%がフレイルになるとも予測されています。
フレイルの基準とは?
フレイルと診断される基準は、まだきちんと設定されておらず、国や医療機関によっても違います。
しかし、だいたいどこの機関も、以下の5つを基準としています。
- 身体活動が低い
- 低エネルギー状態
- 歩行速度が遅い
- 意図的ではない体重減少
- 握力が弱い
上記5つの症状がないか、確認してみてください。
若年層のフレイルも懸念
上記のように、フレイルは高齢者特有の”寝たきり”の前段階となる病気ではありますが、若年層によるフレイルも徐々に増えてきているそうです。
いじめやストレスで学校に行けなかったり、定職につけず、家にひきこもりになると、先の5つの症状が現れやすくなるそうです。
またデスクワークで座り時間が長く、筋力が低下しがちな人も要注意です。
フレイルの予防は筋力を維持すること?
フレイルになると、QOL(生活の質)の低下、寝たきり、入院、死期が早まる、といったリスクが高くなります。
世界的に高齢化が進む中、若者のひきこもりも増えているので、フレイルは世界的な問題だと研究者たちは述べています。
フレイルを予防するには、程度の筋力トレーニングを取り入れることと、タンパク質食品の補給を、食事から不足させないようにすることだそうです。
※参考:『JAMAネットワークオープン』2019年8月
さいごに
フレイルは治らない病気ではないので、歩く機会を増やしたり、軽い体操やストレッチを取り入れるなどして、自ら、対策をしておきましょう。
また、フレイルは高齢者特有の病気と思いがちですが、年齢に関係なく、状況がそろえば、なってしまう病気なので、「まだ若い!」と思っている世代の方も、筋力の衰えだけでも注意しておきたいですね。