健康維持には体内の「脂肪」は悪いものと思われがちですよね。
例えば内臓の周りに脂肪がつく「内臓脂肪」はメタボ予備軍とされています。
それにならい、血管周りの脂肪もなんとなく無意味なものと認識されており、今まで研究の対象には入っていませんでした。
しかし、アメリカの最新研究では、血管周りの脂肪は血管の健康維持とともに緊張緩和機能に優れていることもわかってきました!
詳細を見てみましょう。
血管周りの脂肪は健康維持に役立つ?
アメリカのミシガン州立大学の研究によると、血管周りの脂肪『血管周囲脂肪組織(perivascular adipose tissue、PVAT)』は、緊張の緩和に役立つかもしれない、とのこと。
血管は動脈をはじめ、身体のあらゆる部位に張り巡らされて流れています。
その過程で「血管が引っ張られて緊張する」事態も時には起こるものです。
しかし、血管の周りに脂肪がある場合、その緊張が緩和されるのだそう!
そうすると、血管の消費するエネルギーが減ることから、血管の負担が少なり、健康維持に貢献することになるのです。
血管は3層ではなく4層だった!?
これまで、『血管周囲脂肪組織』は、脂肪を蓄積する役目しかなく、ほぼ無意味な組織として研究対象になることはありませんでした。医学系の教科書などに記述されている例も少ないのです。
血管は『生理学』や『生化学』といった医学系の学問では、血管は3層に分かれていることになっています。
「血管内膜」「中膜」「外膜」の3つです。
しかし、研究者たちは、血管の第4の膜として「脂肪膜」が今後、認識されていくだろう。と述べています。
また別の研究チームでの報告でも『血管周囲脂肪組織』は、血管を弛緩させたり収縮させたりする様々な物質が分泌されていることがわかっています。
『血管周囲脂肪組織』の機能とは?
今回の研究では、『血管周囲脂肪組織』自体の機能について着目!
研究者たちは、ただの脂肪蓄積組織ではなく、血管の一部として担っている役割があるはずだ、と考えたのです。
そこでラットを使った実験で経過を観察すると、『血管周囲脂肪組織』は動脈壁に良い影響を及ぼしていることがわかってきました。
正常な『血管周囲脂肪組織』を持つラットと、そうでないラットを比べると、冒頭で述べたように、血管の緊張緩和機能に優れていることがわかったのです。
これにより、血管にまつわる様々な疾患において、機能不全における役割を再定義する必要がある、と研究者たちは述べています。
※参考:『サイエンティフィックレポート』
さいごに
今まで血管は3層だと思われていましたが、その周りの脂肪膜が血管のクッション役となり、血管の働きを守っていたとは驚きですね。
近い将来、中学や高校の理科系の教科書、大学機関の医療系の教科書の内容が変わるかもしれません!?
まだ動物実験の段階ですが、ヒトでその機能が確認される日もきっと近いことでしょう。