高齢者に多い「フレイル」。
フレイルは、高齢者の筋力が低下してくることを言い、主な原因は運動不足と言われています。しかし、高齢者の食事内容にも原因があるようです。
イギリスの最新研究の報告を見てみましょう。
高齢者は意外と糖質過多?
イギリスのバーミンガム大学の研究によると、高齢者の食事調査を行うと、昼食にパンなどを多く食べており、いわゆる肉や魚などの「タンパク質食品」からタンパク質を摂取できてないことがわかってきました。
パン食のイギリスでは、パンだけだと小麦に含まれるグルテンなどからタンパク質を摂取することになり、質のいいタンパク質摂取とは言えません。
これだと、高齢者の身体を支える筋力づくりは、運動不足の前に食事面から見直していく必要がありそうです。
食事を調査によると……?
そこで研究チームでは、イギリスのバーミンガム地域の住人に参加を呼びかけ、3つの年齢層の食事調査を開始!
参加者は3つグループに分けられました。
- 若年層(平均年齢23歳)
- 中年層(平均年齢51歳)
- 高齢者(平均年齢77歳)
各グループの人数は40名ずつの計120名でした。
参加者全員に3日間の食事日記をつけてもらい、摂取した全ての食品の統計を。
その結果、参加者の食行動パターン、そして主に「タンパク質の摂取パターン」について詳しく調査したところ、1日を通じて18種類のタンパク質を摂取していたことがわかってきました。
高齢者は若年層と比べると「低タンパク質」
詳細に調査すると、高齢者は若年層と比べると、パンなどに含まれるタンパク質から、タンパク質を摂取しているケースが多く、質の低いタンパク質摂取であることがわかってきました。
食事パターンを分析すると、特に昼食をパン中心で過ごしているケースが多いとのこと。
全体的に見ると1日のタンパク質量は満たしている?
データを数値化して見ていくと、各年齢層のタンパク質摂取量は以下の通り!
- 若年層の平均タンパク質摂取量は105.1g
- 中年層の平均タンパク質摂取量は97.0g
- 高齢者の平均タンパク質摂取量は83.4g
となり、全体的に総タンパク質量の摂取量は、おおむね満たしているとのことです。
高齢者は朝食と昼食でタンパク質食品を!
研究者たちは、高齢者の場合、特に朝食と昼食でタンパク質食品を増やすことで、加齢関連の筋力低下を抑えられる、と述べています。
※参考:『栄養学の最前線』
例え、数値上で総タンパク量が足りていたとしても、パンに含まれるグルテンなどのタンパク質から摂取しても、筋力UPにはつながりにくいでしょう。
お肉や魚、卵、大豆製品など「タンパク質食品」と呼ばれる食品群から摂取するのが望ましいですね。
さいごに
食事のとり方で理想的なのは「ベジタブルファースト」といって、食事の一番最初に野菜を食べること。これが推奨されていますね。
しかし、高齢者の場合、全体に食が細るので、野菜で先にお腹がいっぱいになって、メインディッシュのタンパク質食品に行きつかないこともあります。
多くのタンパク質食品は、糖質は控えめなので、例えば朝食は目玉焼きやゆで卵から、昼食は魚から先に食べるなど、確実に良質なタンパク質を摂って、筋力を守りましょう。
人生100年時代と言われる今日。
寝たきりで長生きするのではなく、いくつになっても自活できる筋力を備えておきたいですね。