今年の医療機関は、新型コロナウイルスの対応に追われていますが、高齢化問題も忘れてはいけませんね。
今年も日本の平均寿命は、世界でもトップクラスの長寿国になっていましたが、中には「寝たきり」や「認知症」を患ったまま高齢になっている方も大勢います。
近年の研究で、認知症もやはり生活習慣の積み重ねということがわかってきており、今回はその予防ポイントをご紹介します。
認知症予防に必要なエビデンスとは?
ロンドンに本部がある、『ランセット認知症予防・介入・ケア委員会』(Lancet International Commission on Dementia Prevention, Intervention and Care)の発表によると、認知症予防のエビデンスを分析した結果、12のポイントがあるそうです。
この委員会は、世界をリードする認知症専門家28人から構成されています。
今回の研究では、体系的な文献レビューやメタ分析、個々の研究など、優れたエビデンスの数々を、綿密な調査をもって、分析されました。
その結果、認知症リスクの要因に、新たに3つの項目が追加されることになったのです。
認知症リスクを高めるのは生活習慣?
新たに追加された、3つの認知症リスクの要因とは、以下の内容です!
- 中年期の過度な飲酒
- 頭部の外傷
- 大気汚染
ということです。
2017年度までに注意喚起された9つの要因とは?
すでにこの委員会が2017年度までに認知症の要因だとしていた9つの要因は、以下の通り!
- 子ども時代の教育程度の低さ
- 中年期の難聴
- 高血圧
- 肥満
- 喫煙
- うつ病
- 社会的孤立
- 運動不足
- 65歳以上での糖尿病
となっています。
委員会のメンバーで南カリフォルニア大学の教授によると、
「認知症を回避する作戦はかなり早い段階で始めなければいけません。
そして生涯を通じて続くのです」
と述べています。
認知症は全世界で約5,000万人! 2050年には3倍に?
現在わかっている数字だけでも、認知症と診断された高齢者は全世界で約5,000人にのぼると推定されています。
また、2050年には3倍になるとも予想されています。
特に認知症患者の約3分の2が、低中所得国の人々だというデータも出ています。
先進国では予防策が高じて減少傾向に?
認知症患者の数は上昇傾向にありますが、アメリカやイギリス、フランスなど一部の先進国では、予防策が高じ、高齢者の認知症患者の割合が低下している国も出てきています。
予防策をしっかりと国民に提示することで、国民のライフスタイルが変化しているようです。
そのため、研究者たちは、予防策によって、認知症を軽減することは可能だと考えています。
委員会が推奨する認知症予防のための行動とは?
以上のことから、委員会メンバーの研究者や医師たちは、個々人が、日頃の生活習慣で取り入れるべき事柄を、次のように勧めています。
- 40代から収縮期血圧を130mmHg以下に維持しておく
- 難聴の方は、補聴器の使用を奨励する。また耳を騒音から守ることで難聴を減らす
- 大気汚染や間接喫煙へ機会を減らす(マスク着用など)
- 頭部の損傷を防止する(特にリスクの高い職業はヘルメットなどを必須に!)
- アルコール摂取量を週21ユニット以下に抑える
(1ユニットのアルコールは、純アルコール量10 mlまたは8 gに相当) - 自身の禁煙とともに、他人の禁煙もサポートする
- すべての子供に初等中等教育を提供
- 中年期は活動的に過ごすこと。高齢期に入ってもできる限り取り入れること。
- 肥満とそれに関連する糖尿病を減らすこと
となっています。
※参考:『ランセット』
さいごに
こうしてみると、認知症を予防するには、生活習慣を改めることが一番のようですね。
そして判断力や認知力を向上させるためにも、子どもの頃からの学習習慣も大切です。
大人になると、学習の機会が減ってきてしまいますが、仕事や日常生活に役立つ知識は、いくつになっても蓄積するよう努めたいですね。きっと脳トレにもなるでしょう。
そして、暴飲暴食やスイーツ、飲酒、喫煙の管理は必須といえそうですね。
「今はまだ若い!」と思っていても、いつか必ず来る「高齢期」を豊かに過ごすためにも、生活習慣を今のうちから見直してみましょう。