栄養失調と聞くと、やせ細った肢体を想像しますが、肥満も「隠れ栄養失調」です。
実際、栄養失調と診断された人の約半数が、過体重または肥満だというデータもあるほど!
アメリカの心臓学会にあがってきた報告の詳細を見てみましょう。
肥満者ほど栄養失調?
アメリカの心臓学会の論説により、栄養失調の人ほど「急性冠動脈疾患」が多く、その大半がBMIの高い過体重や肥満者ということです。
それにより、BMIの高い人の栄養状態を調べる必要がある、として今回の研究に至ったそうです。
栄養失調とは?
まず「栄養失調」とは、どういう状態のことをいうのでしょうか?
栄養失調とは、
「栄養素の摂取が不十分、または不均衡のため、栄養上の欠点がある状態」
と定義されています。
主に、低体重の人に多い、という間違った認識が広まっていますが、実際は、過体重や肥満者が大半を占めており、急性冠状動脈疾患の原因の1つとしても上がってきています。
肥満者の栄養失調は認識されていない?
過体重や肥満者の人たちは、一般に「栄養が行き届いている」と思われがちです。
そのため、肥満者ほと栄養失調だという認識は、ほぼされていません。
そして治療も不十分な状態です。
胴回りが大きいと、低栄養ではなく「過剰栄養」と勘違いされることが、あまりにも多いからだとか!?
体重は食品の質と相関関係があり、例えば、低所得者層ほど肥満が多いのは、インスタント食品や加工食品の摂取が多く、糖質や脂質過多で体重がふえているのです。
生鮮食品の摂取がほぼないため、ビタミンやミネラルが極度に不足しており、かなり重度の栄養失調ということが伺えます。
肥満者の有病率のほうが深刻?
研究では、肥満者における栄養失調の有病率と、それが深刻な合併症とどう関与するかを強調する証拠となるデータを提示。
実際に、栄養失調は低体重者に比べて4倍もの過体重者と肥満者が占めているというWHO(世界保健機構)の統計データもあります。
肥満・過体重は疾患の一つ! 早めの治療を
研究者たちは、
肥満や過体重も疾患の一つ。
治療せず、放置していると、栄養失調がもとで「糖尿病」「高血圧」「心臓病」などの深刻な健康状態につながり、大変危険だ。
と述べています。
心血管疾患予防のためにも適切な食習慣を!
肥満者や過体重者に心血管疾患が多いのは、実は栄養失調ということがわかりましたね。
心血管疾患を軽減したり、回復させるためにも、適切な食習慣や身体活動、ストレス解消、質の高い睡眠などが必要となってきます。
こうした習慣が、最も費用がかからず、「費用対効果が高い治療ツール」なのです。
こうした指導を行う専門家が、高度な知識をもってサポートすべきなのでしょう。
※参考:『米国心臓学会誌』
さいごに
こうしてみると、確かに細い人ほど活動的で、ぽっちゃりした人ほどいつもダルそうな印象がありますよね。
過体重者や肥満者は、余計な毒素や老廃物を身体に相当量、抱え込んでいるので、その分、負担がかかっているのです! 決して栄養が行きわたっているわけではないのです!
そのことを肝に銘じて、くれぐれも「食欲の秋」ではありますが、食べ過ぎには注意したいですね。