骨の健康のために、近年、ビタミンDのサプリメントの売り上げが好調ですよね。
そんな中、サプリメントでビタミンDを摂りすぎてしまうと、高齢者の転倒リスクにつながってしまうようです!?
アメリカの最新研究を見てみましょう。
ビタミンDのサプリは適用量を守って!
アメリカのジョンズホプキンズ大学の研究により、冒頭のようなことがわかってきました。
ビタミンDは骨の形成に必要な栄養素で、世界中で、摂取不足が指摘されました。
それにより、食べ物からの摂取が難しいビタミンDのサプリメントが、売り上げを伸ばし始めました。
そうすると!? 今度は、サプリメントにより、ビタミンDの摂取過多の問題が浮上!
その一つが、高齢者による転倒リスクです。
高齢者は、加齢とともに骨がもろくなるため、ビタミンDをサプリメントで摂取する人も多くなったので、取り扱いには注意が必要ですね。
ビタミンDの高用量サプリメントに注意!
マルチビタミンなどで、ビタミンDを摂取するには、含有量がさほど高くはないので、許容範囲です。
しかし、「ビタミンD」単独のサプリメントで、高用量が配合されているものはご注意!
研究者たちは、
多くのサプリメント利用者が、少量でも十分、効果が期待できるのに、「骨を丈夫にしたい!」と焦り、多く摂りすぎてしまう傾向が、原因になっている。
と指摘!
他の栄養素では、高用量の摂取でも、特に副作用がでませんが、ビタミンDの場合は摂取しすぎると、多くのリスクをもたらすようです……。
ビタミンDは筋力も高めるが!?
先行研究では、ビタミンDは筋力を高める効果が期待できる、とされていました。
高齢者の転倒リスクは、骨のもろさだけではなく、筋力の低下も原因も一つです。
そこで、研究チームは、ビタミンDと筋力の関係にも注目!
そして、ビタミンDの摂取量と、高齢者の転倒リスクの関連も調査したのです。
ビタミンDの摂取が、推奨量を超えると……?
研究では、ビタミンDサプリメントの摂取量が、2,000~4,000IU/日に及ぶ高用量の場合が、詳しく調査されました。
アメリカで市販されているサプリメントでは、ビタミンDの1日推奨量1,000IU/日が一般的です。
ビタミンDの摂取量1,000IU/日の場合と、2,000IU/日の場合とを比較すると!?
後者の方が、深刻な転倒や、転倒による入院例が多かったということです。
そして、200IU/日以上と、1,000IU/日の場合を比較すると、前者の方が、転倒リスクが少ないこともわかりました。
一般的なサプリメントの推奨量1,000IU/日でも、摂取量が多すぎるようですね!
ビタミンDは200IU/日程度で十分!
研究では、2段階の試験が行われました。
第一段階では、70歳以上の参加者に対し、ビタミンDの摂取量を、4つのグループに分けました。
- 200IU/日
- 1,000IU/日
- 2,000IU/日
- 4,000IU/日
このうち、2~4の高用量を比較すると、2は3と4よりも転倒率は低かったため、1,000IU/日を基準として、第二段階の試験を行いました。
第2段階の試験結果は?
第2段階の試験は、
- 高用量群:1,000IU/日
- 対照群:200IU/日
を比較しました。
すると、基準とされていた1よりも、2の方が有意に転倒率が低いことを発見しました。
高齢者の転倒リスクにビタミンDレベルを協議!
この結果を踏まえ、研究者たちは、高齢者の転倒予防の観点から、ビタミンDのサプリメントを推奨している医師らに対し、1日の摂取基準を守るよう、呼びかけています。
※参考:『内科学年報』
さいごに
どんなに身体に良いと言われる食事も、栄養成分も、やはり摂りすぎは禁物ですね!
ビタミンCやビタミンB群は、少々摂りすぎても、水溶性なので、体内滞留時間が少なく、尿と共に流れ出ます。
しかし、ビタミンDは脂溶性ビタミンのため、摂りすぎると逆に蓄積されて、弊害の懸念も出てきます。
ビタミンD不足は不足しても、問題がありますが、くれぐれもサプリメントを利用する場合は、摂りすぎないよう、注意しましょう。