皆様の周りにも、体調を崩す様子もなく、いつも健康体の人はいらっしゃいませんか?
こういった人たちは、成人の約1割に存在すると言われる「褐色脂肪細胞」保持者かもしれません!?
アメリカの最新研究を見てみましょう。
褐色脂肪細胞を持つ成人は約10%
アメリカのロックフェラー大学の研究によると、成人の約10%が、検出可能な「褐色脂肪細胞」を保持していることがわかってきました。
褐色脂肪細胞を保持していると、肥満の有害影響から身体を保護し、Ⅱ型糖尿病や心臓病リスクが低くなる傾向があります。
褐色脂肪細胞とは、どういったものなのでしょうか?
体脂肪は『白色脂肪細胞』
揚げ物や炭水化物食品、スイーツなど、高カロリー食品を食べると、その過剰なエネルギーは体内に脂肪として蓄積されます。
「体脂肪」と呼ばれることが多いですが、部位により、皮下脂肪や内臓脂肪とも呼ばれていますね。
これらの正体は『白色脂肪細胞』に分類されます。
例えば、すき焼きやステーキで使用する「牛脂」、中華料理や野菜炒めで使用する「ラード」は牛や豚の脂です。
色は白いですよね? ヒトの体内も、同じ動物組織として、牛脂やラードのような『白色脂肪細胞』が存在しているのです。
この脂肪は、ヒトを始めとする動物の身体を太らせます!
体脂肪と真逆の働きをする『褐色脂肪細胞』
一方の『褐色脂肪細胞』は、ベージュ脂肪とも呼ばれ、文字通り褐色です。
一見、白は潔白、褐色はダークなイメージがありますが、脂肪細胞については、褐色のほうが良い働きをします。
褐色脂肪細胞は、エネルギーを燃焼して、熱産生をする脂肪細胞なのです。
赤ちゃんのポチャポチャとした柔らかな身体には、褐色脂肪細胞が多く存在しています。
しかし、成長と共に減少し、成人になるとほぼ無くなってしまうのが現状です。
ですが、冒頭で述べたように、成人の約10%の人たちは、大人になっても、この褐色脂肪細胞を保持していたことがわかってきたのです。
褐色脂肪細胞は活性化される?
研究班は、約50,000人の患者の脂肪組織を、CTスキャンで撮影し、その画像を解析しました。
その結果、約10%の患者が、検出可能な褐色脂肪細胞を保持していることがわかったのです。
この一割の患者は、褐色脂肪の活性を高める寒冷曝露、運動、程度のカフェイン摂取を行っている可能性が高いようです。
褐色脂肪細胞の保持者は生活習慣病リスクが低い!
褐色脂肪細胞が検出された患者たち【A】は、されなかった患者【B】と比べて、Ⅱ型糖尿病が有意に少なく、異常コレステロールも少ないこともわかってきました。
数値化すると、以下の通りになります。
※【A】対【B】
- 4.6%対9.5%
- 18.9%対22.2%
褐色脂肪細胞は高血圧など血管系にも強い?
褐色脂肪細胞の保持者は、「高血圧」「うっ血性心不全」「冠動脈疾患」のリスクも低めでした。
こうした観察結果は、これまでの先行研究でも知られていなかったそうです!
褐色脂肪細胞は肥満の悪影響も打ち消す!?
人数は少ないですが、褐色脂肪細胞が検出された肥満者もいたようです。
一般に、肥満者は、生活習慣病に罹りやすいと言われています。
しかし、褐色脂肪細胞を持つ肥満者は、肥満が影響すると言われている様々な健康被害を打ち消す働きも明らかになりました。
これを踏まえ、研究者たちは、
褐色脂肪細胞を保持している肥満者は、白色脂肪の有害影響から、保護されているように見える。
と述べています。
※参考:『ネイチャー医学』
さいごに
褐色脂肪細胞は、寒さに耐えたり、運動で汗をかく機会が増えると、活性化されると考えられています。
寒くてブルブル震えることがありますよね?
その時に、褐色脂肪細胞が増えていくのだそう!
程度のカフェイン摂取や運動も取り入れて、失われつつある褐色脂肪細胞を取り戻してみましょう。