高齢になると、嗅覚も衰えていく……と考えられています。
しかし、料理の匂いには弱くても、バニラやオレンジなどの柑橘類、ブルーベリーなどのベリー類に関しては正常なようです!?
デンマークの最新研究の詳細を見てみましょう。
高齢者の嗅覚は複雑になっている?
デンマークのコペンハーゲン大学からの研究で、冒頭のような事実がわかってきました。
どうやら、高齢者の嗅覚は、全体に低下しているのではなく、「選択特異性」が見られるようですね。
高齢者と若者の嗅覚は、どう違うのか?
研究では、デンマークの5つの地域より、60~98歳の高齢者と20~39歳の若年層を対象に、嗅覚の比較調査を行いました。
対象となった高齢者は約250名、対照群となった若年層は約90名でした。
嗅覚試験の内容とは?
嗅覚試験には、
- ベーコン
- 玉ねぎ
- アスパラガス
- コーヒー
といった、日常によく料理して食べられている食品と嗜好品。
次に、14種類の自然食品のキットが使用されました。
自然食品の例は、以下の通り。
- シナモン
- バニラ
- オレンジ
- ラズベリー
- ブルーベリー
嗅覚実験の結果は?
嗅覚実験の結果、高齢者は、揚げ物や調理した玉ねぎやキノコ、コーヒーに対する嗅覚は、若年層と比較して、著しく低下している事実がわかりました。
しかし、オレンジ、ラズベリー、バニラといった自然食品の嗅覚は、若年層と同じレベルであったそうです。
ちなみに、参加者の嗜好は、嗅覚には必ずしも影響していないこともわかりました。
つまり、好物の匂いを嗅ぎ分けるといった現象は、起こらないということです。
加齢すると塩味とうま味の味覚が落ちやすい?
この結果をふまえ、研究者たちは、
このような現象が起こる理由は、今のところ不明です。
統計調査の結果に過ぎません。
しかし、揚げ物などの塩味と旨味の味覚は、加齢で最も低下が起こるという事実は、確認できています。
そのため、味覚と嗅覚には、強い関連があるのではないか? と推測できます。
と、述べています。
※参考:『食物の質と好み』
さいごに
年齢とともに、味覚や嗅覚が低下すると、食事の楽しみが半減してしまいますが、自然由来の果物や香辛料は、いくつになっても楽しめそうですね。