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中年期の鉄欠乏を改善すると心臓病発症リスクが軽減? ドイツ・研究

中年期に突入すると、
10年以内に《冠状動脈疾患》などの心臓病に罹患する人が、人口の11%を占める
という、統計が出ています。
しかし、身体の鉄欠乏を改善すれば、回避できるかもしれません!?
ドイツの最新・心不全研究の詳細を見てみましょう。

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中年期の鉄欠乏は、心臓にダメージを?

ドイツのハンブルク大学の研究により、冒頭のような事実がわかってきました。
あくまで、観察研究の段階なので、身体が鉄欠乏に陥ると、必ず心臓病を引き起こす、とは断言できないそうです。
しかし、「鉄欠乏と心臓病の発症は、関連性がある」という証拠が増えているのも事実!

約12,000人の中年期成人のデータを解析

今回の研究では、ヨーロッパの3つの人口ベースの調査結果より、約12,000名のデータが解析されました。
対象年齢は、45~68歳。約55%が女性でした。
対象者は、2つの定義により、鉄欠乏または非欠乏に分類されました。

  1. 貯蔵鉄(フェリチン)のみを指標とする絶対的な鉄欠乏
  2. 貯蔵鉄(〃)と血清鉄(トランスフェリン)を含む機能的な鉄欠乏

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絶対的鉄欠乏と機能的鉄欠乏の違いとは?

《絶対的鉄欠乏》とは?

身体の鉄欠乏を評価する伝統的な方法です。
血液中を循環する鉄を、見逃しているために起こる鉄欠乏です。

《機能的鉄欠乏》とは?

貯蔵鉄(〃)と血清鉄(トランスフェリン)両方の測定値を含むもの。
鉄の貯蔵量としては十分ですが、身体が適切に機能するのに、鉄の血中濃度が充分でない状態を言います。
こちらの鉄欠乏のほうが、より正確になるそうです。

調査開始直後の参加者は60%が絶対的鉄欠乏

今回の研究のスター時は、対象者の60%が絶対的な鉄欠乏でした。
一方の機能的鉄欠乏は、64%でした。
追跡期間は13年。
この期間中に、約2,200人(約18%)の方々が死亡しています。
そのうち、約600名ほどが、《心血管系疾患》が原因でした。
そして、約1,000名が冠動脈疾患、約800名が脳卒中と診断されています。

機能性鉄欠乏のほうが死因に繋がりやすい?

データを解析した結果、機能性鉄欠乏の人たちは、そうでない人たちと比較して、《冠動脈疾患》の発症リスクが24%高い事実が判明!
《心血管系》の死亡リスクは、26%も高くなり、全死因による死亡リスクも12%高くなるようです。

絶対的鉄欠乏は死因に繋がりにくい?

一方の絶対的鉄欠乏は、そうでない人たちと比較して、《冠動脈疾患》の発症リスクが20%高くなることが確認できました。
しかし、死亡率とは関連していなかったそうです。

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機能性鉄欠乏に注意!

研究チームは、年齢や性別、喫煙歴、コレステロール、血圧、糖尿病の有無、BMI値などの因子を調整した結果、10年以内に、全死因の5.4%が《機能的鉄欠乏》に起因することを、明らかにしました。
心血管系死亡は11.7%でした。
また、新たに冠動脈疾患と診断された方々も約11%増えていました。
これらは、全て《機能的鉄欠乏》です。

鉄欠乏を改善するとリスクが軽減

今回の結果を踏まえ、研究者たちは、

今回の研究での分析は、ベースラインで鉄欠乏がなかった場合、

  • 全死亡:約5%
  • 心血管系死亡:12%
  • 新たな冠動脈疾患の診断:11%

こらの要因が、10年以内に、発症しにくくなるでしょう。

と、述べています。
※参考:『ESC心不全』

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鉄欠乏を予防&改善する食生活

鉄欠乏といえば、女性の《貧血》を思い浮かべる方も多いことでしょう。
しかし、鉄が欠乏すると、心臓に多大な影響を及ぼすことがわかりましたね。
鉄のサプリを摂るのもいいですが、毎日の食生活でも取り入れたいですね。

  • レバー類
  • 赤身肉
  • 卵の黄身
  • バター(摂りすぎに注意!)
  • ほうれん草(ビタミンCと一緒に摂る)

などを食生活に取り入れておきましょう。
ほうれん草は、植物なので、非ヘム鉄となるので、ビタミンCと一緒に摂ると、身体への吸収が良くなります。

鉄についての詳細は、こちらのご参照ください!

wbn-japan.com

さいごに

中年期に突入している方は、男女を問わず、鉄欠乏には注意しておきたいですね。
これから寒くなってくると、血流が悪くなり、心臓発作や脳卒中が増えてくる時期です。
日々の食生活で、予防しておきたいですね。