腸壁の隙間から、有毒物質が体内に漏れ出す病気《リーキーガット症候群》を、ご存知ですか?
日本では、まだ聞き慣れない病気ですが、知らずに腸内の毒素が血流に流れ、糖尿病やアルツハイマーなど、生活習慣病を引き起こす曲者です!
しかし、野菜や果物など、ポリフェノールが豊富な食事で改善できるようです。
スペインの最新・臨床栄養学研究の詳細を見てみましょう。
リーキーガット症候群とは?
《リーキーガット症候群》とは、腸壁の細胞同士の隙間が広がり、腸の透過性が増し、有毒な物質が、体内に漏れ出す病気のことです。
高齢者に多く見られる症状ですが、食生活の偏りでも腸壁が傷つくので、若年層でも油断はできません!
「腸の透過性が増す」原因は、
- 加齢
- 食物アレルギー
- 不耐性
- 不健康な食事
だと、考えられています。
ポリフェノールが豊富な食事で改善か?
スペインのバルセロナ大学の研究によると、前述のような腸壁の状態は、ポリフェノールが豊富な食事で改善できる事実がわかってきました。
ポリフェノールが豊富な食事とは?
具体的には、リンゴ、ココア、ダークチョコレート、緑茶、クランベリー、オレンジ、ザクロジュース、緑黄色野菜といった、果物や野菜の他、植物性の食品群を指します。
リーキーガット症候群は生活習慣病を引き起こす
《リーキーガット症候群》は、腸の変化により、腸の完璧なバリア機能を低下させます。
腸壁の細胞間から漏れ出た有毒物質は、血液中に有毒な物質が流れ出ることになり、
- 糖尿病
- 心血管疾患
- アルツハイマー
など、血流、心臓、脳などにも悪影響を及ぼします。
リーキーガット症候群が原因で、様々な慢性疾患を引き起こすことも分かっています。
60歳以上を対象に食生活の調査を開始!
研究チームは、60歳以上を対象に、ポリフェノールを豊富に含む食事を摂ってもらい、腸内細菌叢に、どのような変化が現れるのか、経過を観察しました。
その結果、腸の透過性が増していた腸壁も、改善の方向に向かった事実が確認できたのです!
食生活の改善と腸の健康
この結果をふまえ、研究者たちは、
今回の研究では、ポリフェノールが豊富な食事によって引き起こされる、腸の変化を分析しました。
それにより、代謝過程で、食事の要素、微生物叢、腸の透過性の関係、そして腸のバリア機能の改善に関与する事実が、確認できました。
と述べています。
調査の詳細とは?
今回の研究では、対象者の血液と糞便サンプルが分析されました。
その結果、ポリフェノール摂取に関連する《血清メタボローム》という物質の増加が確認できました。
例えば、ココアや緑茶に含まれる《テオブロミン》や《メチルキサンチン》という成分は、腸内の《酪酸産生菌》という腸内細菌に正の相関がありました。
また、腸の透過性に関連するタンパク質《ゾヌリン》とは逆の相関がありました。
すなわち、腸の透過性を増大させる、悪質なタンパク質の働きを制御してくれるのです!
細胞や腸の老化を防ぐために食生活の改善を!
このテーマに取り組んだ研究者たちは、
様々な病気を引き起こす《腸の透過性》は、高齢者に限らず、どの年代のライフステージにおいても、防がなくてはいけません。
特に高齢者は、意識的にカスタマイズされた食事を摂る必要があるので、食事からのポリフェノール摂取は必須と言えるでしょう。
今回の調査結果が示すように、野菜や果物の摂取量が多いと、老化による《腸の透過性》や腸壁の損傷を防げるのです。
また、野菜や果物の摂取を増やすと、ポリフェノールのほかに、食物繊維やビタミン&ミネラルも摂取できるので、総合的に腸や身体の健康に役立つのです。
と、述べています。
※参照:『臨床栄養学』
さいごに
野菜や果物は、腸内を整える《腸活》だけではなく、腸そのものを支える《腸壁》を正常に保つ働きがあるとは、頼もしいですね。
身体がだるい、頭痛、血糖値が上がってイライラする? といった症状があると、腸から毒素が漏れているかもしれません!?
いつもの食事に、野菜や果物をプラスして、腸壁も丈夫にしておきましょう。