おはようございます。
昨日の読書は、林真理子さんの『李王家の縁談』でした。
林真理子さんの歴史小説はとても読みやすく、以前からよく読んでいました。
徳川家の幕末をえがいた『正妻 慶喜と美賀子』や『白蓮れんれん』など、よく読み返したものです。
今回の真理子さんの歴史小説は、明治から昭和初期にかけての皇室の縁談の内情を描いたものです。
ある皇族女性の日記をもとに、物語が進行して行く構成で、最後まで興味深く一気に読め(聴け)ました。
audibleでの耳読だったので、ナレーターさんが宮中のことば使いで会話を読んでくれるので、とてもリアル感がありました。
明治~昭和初期にかけての高貴な身分の方は、恋愛結婚が許されない時代で、親や皇族が決めた縁談に従うしかありませんでした。
皇族の女性は、特に母親が娘の縁談に慎重で、ほかの皇族との見栄や張り合いもあったようです。
母親の思惑と、日本国家の暗雲を晴らすために、朝鮮の王族に嫁ぐ人もいたようです。
当地の皇族の女性には、 関東大震災や第二次世界大戦後、自分たちは身分が高いのだから、平民と同じようにアメリカに傅く必要はないと、本気で訴える女性もいたようです。
日本が焼け野原になっていても、自分たちは優遇して屋敷を立て直してもらうなど、当地の貧富の差などの裏事情もよくわかり、学校の教科書では知れない、裏の歴史が垣間見えたように思いました。
当時の高貴な人たちの、今なら許されない世間知らずな発言も、コミカルに描かれていて面白かったです。
同じ日本に住みながら、別世界の住人である皇族の裏事象を知れる小説です。
別世界へのいざないを、ありがとうございました。