おはようございます。
昨日の読書は、青山 美智子さんの『赤と青とエスキース』でした。
2022年度の本屋大賞で第2位となった作品です。
プロローグと第一章~第四章、エピローグからなる小説で、一章ずつの物語は、短編小説のようになっています。
しかし、読み進めていくうちに、第一章のオーストラリア留学中の女子大生と、彼女を取り巻く人々たちの登場が重要だったと気付かされる、斬新な構成でした。
最終章は、50歳になった女性の物語なのですが、何気ない絵画にまつわるエピソードが、すべて繋がっていたのです。
第一章に出てきた、貧しいオーストラリア人の画家のその後は?
彼女と恋に落ちた、日本人でありながら、母国を知らないメルボルンの美大男子学生のその後は?
画家を目指す美大生(男性)がオーストラリアで出会った、無名画家の作品が、額縁の職人になるキッカケとなったり、などなど。
エピローグですべてのパズルのピースが揃う面白さは、新鮮な驚きをもたらしてくれました。
やはり上位作は、繊細で描写も美しいですね。
エスキースとは「下絵」という意味だそうです。
赤と青をモチーフに、30年前のメルボルンでひと時、集った人々のその後が描かれた集大成!
30年前のそれぞれの登場人物は、まだ下絵の存在。
物語が進む中で、赤や青の色で象徴的に彩られ、それぞれの生きざまが、時には切なく、時にはホッコリしながら絵画のように完成していきます。
最後は額縁に入れられて!
物語を、絵画になぞらえて完結させる筆力は必見ですね。
ありがとうございました。