おはようございます。
今日の読書レビューは、知念 実希人著『仮面病棟』です。
数年前に映画化された作品ですね。
もと精神病院を改造した、入院設備のある病院でおこる、閉鎖的な殺人事件!
館ミステリーっぽい閉塞感に、スリルを感じます。
物語の語り手である、医師が主人公で、たまたま先輩の当直の代理で訪れた病院で、立てこもり事件に巻き込まれます。
深夜、ピエロの衣装を着こんだ犯人が、美人女子大生をコンビニで誘拐して、ケガを負わせたので、緊急手術するよう命じます。
そのまま病院スタッフを脅したうえ、通信網を遮断し、外部から病院を孤立させてしまいます。
警察への通報も、家族への連絡もできません!
主人公の医師は、誘拐された女子大生の手術を担当します。
女子大生のケガはさほど大事ではなく、すぐに動き回れる状態になります。
舞台となる病院の入院患者は、なぜか、身寄りのない、入院費もキチンと払えないような、生活困窮者が多く、一見、院長が貧しい病人に救いの手を伸べているように見えましたが……。その実態は?
物語が進むにつれて、この病院の真相が明らかになっていきます。
主人公の医師に、無理難題を押し付けてくるピエロ衣装の犯人の目的は、お金か?
単なる劇場型殺人か? 病院側に恨みがあるのか?
謎が多く、テンポの速いストーリー展開にドキドキさせられます。
誘拐されてきた女子大生はキレもので、主人公がナゾを解くお手伝いに、おおいに活躍します。
やがて、院内ではいくつかの殺人が起こり、クライマックスでは、院長も、犯人のピエロも……主人公も意識不明になります。
意識が戻った主人公は、警察に保護されていましたが、女子大生の姿はありませんでした。
患者リストにもなく、院内に存在していた気配もありません。
主人公は幻を見ていたのか? 殺戮現場はファンタジーだったのか?
最後のドンデン返しは、ネタバレになるので、控えますが、一気読み必須の新しいタイプのミステリーでした。
著者の知念 実希人氏は、現役の医師なので、病院内や死体の描写はリアルですね。
先日、同作者の『硝子の塔の殺人』を読んだばかりですが、違うタイプの医師が主人公で、設定も違い、同じ作家さんとは思えない、出来栄えに脱帽です!
他の作品も読破したい! と思う作家さんを見つけられて光栄です。
オーディブルの読み放題プランに入っているので、ぜひ!
オーディブルで、今まで読まなかった作家さんの本に出会えて、感謝です。
ありがとうございました!