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江戸川乱歩『赤い部屋』『一寸法師』読書レビュー

おはようございます。
江戸川乱歩全集の第一巻を、オーディブルで聴き終えました。
順番通りではありませんが、読書記録として、ブログに読書レビューを残したいと思います。

江戸川乱歩『赤い部屋』読書レビュー

このお話は、ある男性の懺悔記録のような形で、一人称で語られる物語。
乱歩先生お得意の主人公像で、親の遺産で、働かずにブラブラ過ごしながら、年老いていく男性の、殺人記録です。
語り手の老人は、若い頃から海外文学や講談本に読みふけり、殺人に興味をもってしまいます。
医学書も読んでいたので、遺体が死後硬直などで、どのように変化していくのかもわかっていました。
しかし、派手な殺しは、人目につくし、警察につかまってしまいます。
そこで、自身で手を染めずに、人を殺せないものか?
目標は、老いるまでに100人です。

読書家だけあって、知識が豊富な主人公は、様々な殺人を披露していきます。
ある老婆が踏切を渡ろうとしていましたが、もう遮断機の音が鳴っています。
そこで「危ない!」と声を張り上げると、老婆は振り向き、向こうがわに渡れず……。

ある時は、線路内の落とし物を、親切にも持ち主本人に伝えました。
「まだ電車は当分来ないみたいですよ」と、耳元でささやいて、その場を去りました。
線路内におりて、ものを拾おうとしたら……

あまり書くと、ネタバレというより、親切が仇になりそうな事例が多く並ぶので、気になる方は、短編の『赤い部屋』をご一読ください!

昭和初期のお話ですが、現代でも、十分にあり得そうなお話ばかりで、びっくりした次第です。

江戸川乱歩『一寸法師』読書レビュー

この作品は、乱歩先生の代表作にあげられる、摩訶不思議な長編小説のひとつですね。
成人なのに、身長が五歳児ぐらいしかない、中年男がおり、子供のころから、当時の《見世物小屋》で働かされていました。
そのうち、悪事を覚え、ずる賢い中年男になりました。
金持ちをゆすり、お金を巻き上げて暮らしていたのです。

カラダが小さく、すばしっこいことが特技。
ある日、財閥令嬢が行方不明になり、その令嬢の継母が明智小五郎に捜査を依頼します。
財閥家に出入りしていた、ある青年が、継母に明智小五郎を紹介したのです。
その青年は、銀座の百貨店の催し会場で、人形展を見ており、その時に、ひと騒ぎがありました。
職人が作った、日本人形の展示は、どれも美しく、夜中になると、歩き出すのではないか? と思われるほど!
ある家族連れに、わんぱくな男の子がおり、展示室の中に入り込んでしまいました。
まだ、ガラスショーケースなどがなかった時代なので、展示物に近づきやすかったようです。
男の子は、人気の人形に近づき、手をつなごうとします。人形の手なので固いはずなのに、なぜかプニョプニョとした感触があります。
人形の手をよく見ると、紫色に変色していて、男の子は、思わず手を引くと、はずみで手が抜けてしまい……。

どうみても、人間の手のように思えます。
この光景を見ていた、青年は、一寸法師のような醜い影の男を見かけました。

別の日にも、青年は、一寸法師を見かけます。祭りの日でした。

一寸法師は、寺の境内に住んでいるのでは?

一方の、財閥家では、行方不明の令嬢と、デパートの人形展で発見された女性の手の騒ぎで、主が意気消沈しています。

そして、継母が連れ出され、ご令嬢つきの小間使いもいなくなります。

一寸法師と、財閥家の関係は?
財閥家の令嬢は、生きているのか?
一寸法師は、殺人鬼なのか?

一寸法師の奇妙な行動に、釘付けとなる物語です!
文字だけの世界で、読者の心を他所にやり、真の犯人の行動が盲点となってしまう筆力は、さすが乱歩先生ですね。

代表作の一つとしてあげられている『一寸法師』。
不気味な描写も多々ありますが、伏線やフーダニットの設定は、ミステリーのお手本となるでしょう。

摩訶不思議な世界観を、後世にのこしてくださり、ありがとうございました!