おはようございます。
本日の読書レビューは、アガサ・クリスティーのデビュー作『スタイルズ荘の怪事件』です。
これで、10回目ぐらい読み返しているのですが、読むたびに、新しい発見があり、楽しい作品です。
それに、この作品が、アガサ・クリスティーの原点でもあるので、読後は感慨深いものがあるのです!
いつもは、早川書房のクリスティー文庫で読んでいましたが、今回は、Kindle版で探せる《グーテンベルク21》社の翻訳作品で読んでみました。
グーテンゲルク21社の書籍は、ほとんどが、Kindle Unlimitedの読み放題プランに入っています!
クリスティーの作品も、半分ぐらい入っているので、また新たな楽しみを発見してしまいました!
他に、ディクスン・カーやバークレイなど、クリスティーと同世代の古典ミステリー作品も多数、探せます。
さて、『スタイルズ荘の怪事件』読書レビューに、お話を戻します。
物語の語り手は、ヘイスティング大尉。
この後、長きにわたって、ポワロの補助役(相棒)として、活躍する登場人物ですね。
この作品の誕生秘話は、『アガサ・クリスティー自伝』に詳しく書かれていました。
当初は、連続ものにする予定もなく、姉のマッジに「あなたに探偵小説なんて、書けるわけないじゃない!」といわれた、反抗心から書いたのだそうです。
被害者となる老婦人と、20歳以上も年下の若い夫の設定は、アガサがある日、近所の噂話で聞いた家庭にヒントを得たようです。
でも、実在の人物をモデルにするのは、自身の想像力が欠けている証拠となるので、参考にした程度だそうですが。
さて、物語は、ヘイスティング大尉が、休暇でスタイルズ荘を訪れたところから始まります。
スタイルズ荘は、ヘイスティングのイートン校での同期生が暮らす、とある地方の豪邸です。
ヘイスティングは、第一次大戦で負傷し、傷心を抱えながらロンドン生活を送っていたので、よい気分転換になるはずでした……。
しかし、ヘイスティングの滞在2日目あたりから、家族内の不穏な空気が動き出します。
スタイルズ荘には、ヘイスティングの友人ジョン夫妻と、ジョンの弟ローレンス(医師の卵)、そして継母夫妻(イングルソープ夫妻)、継母の旧友の娘(薬剤師)、継母の話し相手エヴィ(イギリスではコンパニオンというそうです)が、主な住人です。
他に、庭師や老家政婦、料理人などの召使も数人いました。
継母の再婚相手は、20歳以上も年下の男で、ハンサムではありません。
ずる賢そうな小さな瞳に、黒い毛むくじゃらのひげ、そしていつも黒い服を着ていました。
このイングルソープは、実は、夫人の話し相手エヴィの従兄で、スタイルズ荘に遊びに来た時に、老婦人と恋仲になり、結婚したそうです。
その後、エヴィは、従兄を金目当てだと軽蔑し、さげすむようになり、犬猿の仲となってしまいました。
ヘイスティングが不穏な家族関係を観察していると、エヴィが夫人に従兄の悪口を言って、屋敷を出て行ったり、友人ローレンス夫妻の夫婦げんかに遭遇したり、イングルソープ夫人の怒鳴り声が聞こえたりと、穏やかではありませんでした。
スタイルズ荘の住人は、みんな、殺気立っているようです。
ヘイスティングが、屋敷を出て、街をブラついていると、以前、仕事を一緒にした元ベルギー警察のポワロと再会しました。
ポワロは、戦争がひどくなったので、母国を捨てて、イギリスに亡命してきたのだそうです。
この時は、近いうちに「お茶に来てください」と軽い約束を交わして分かれます。
ヘイスティングが屋敷に戻り、昼間、イングルソープ夫人の怒鳴り声を聴いた夜のこと……。
夕食の席に、夫人の姿はなく、食後のコーヒーだけ自室で頂くと言い残して、姿を見せませんでした。
その深夜、イングルソープ夫人の部屋から、苦し気な喘ぎ声が聴こえてきます。何かの発作を起こしているようです。
ヘイスティングとローレンスが、夫人の部屋に向かいますが、カギがかかっていて、中へ入れません。
老婦人の隣室は、夫人の旧友の娘の部屋です。部屋同士が繋がっているので、ノックをしますが、寝入っているのか応答がありません。
夫のイングルソープは、何かの集まりで外出して、帰宅していませんでした。
夫の不在時に起こった、心臓発作は、偶然だったのでしょうか?
男性陣が、夫人の部屋のドアを打ち破って中に入りましたが、なすすべもなく、夫人の苦しむ姿を見ることしかできません。
そのうち、主治医が到着しますが、処置の施しようもなく、夫人は息を引き取りました。
死因は、心臓発作だということになりましたが、医師が念のため、検視が必要と言い出し、他殺説が疑われます。
次の日、ヘイスティングは、ローレンスとジョンの許可をとって、ポワロの滞在先に向かいます。
そこから、ポワロとヘイスティングがタッグを組んで、難事件を解決していくのです。
こういう事件の場合、夫や息子が一番に疑われますよね。
中盤では、「やっぱりコイツか!」みたいな場面がありますが、二転三転して、ラストが以外で、うまいですね!
アガサにとって、はじめてのミステリー作品なのに、完成度が高く、デビュー作から素地があったのだなぁと思った次第です。
ご本人は、お気に入り作品にはあげていませんし、反省点の多い作品だとも、自伝で書いていました。
ミステリー作品は、いろんな批評家の意見もありますが、読者自身が楽しめたら、名作だと言えると思います。
まだ、読んでいない方は、ぜひ!
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本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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