おはようございます。
本日の読書レビューは、1923~1924年にかけてアガサ・クリスティーが書き溜めた、短編小説『コーンウォールの謎』『チョコレートの箱』『クラブのキング』 の3つをご紹介します。
コーンウォールの謎
出版社のよっては『コーンワルの毒殺事件』『コーンウォールの毒殺事件』などとなっています。
ポワロのもとに、ごく平凡な初老の主婦ペンジェリー夫人が訪ねてきます。
何者かに命を狙われていて、食べ物や飲み物に、毒がはいっているような気がする、と言うのです。
しかし、夫が不在にしているときは、体調がよく、どうも夫に毒を盛られているような気がすると。
ポワロが、その根拠を尋ねると、町医者である夫が、若い美人の助手と不倫をしているというのです。
ポワロは、医師が身近な助手に手を出すとは思えませんでした。
一旦、夫人を帰し、翌日、改めてポワロはヘイスティングと夫人が住むコーンウォールへ向かいます。
家を訪ねると、女中が泣いており、ペンジェリー夫人が今朝、亡くなったとのこと。
死因は毒殺でした。
夫に嫌疑がかけられますが、美人助手が必死に、違うとかばいます。
やはり不倫関係だったのでしょうか?
ペンジェリー夫人には、姪がおり、一週間前まで夫妻と一緒に住んでいましたが、家を出て別の場所で暮らしているとのこと。
姪には、街で商店を開く予定の婚約者がいました。
姪と婚約者の話によると、ペンジェリー夫人は、姪の婚約者のハンサムな姿に参ってしまい、恋心を抱き、迷惑をしていたとのこと。
それで、怒った姪は、結婚式を待たずに、家を出たのだそうです。
ペンジェリー夫人が亡くなったことで、姪には少しだけ遺産が入る予定です。
夫の医師が、妻を殺したことになると、夫が相続する財産も姪の懐に?
夫が助手との不倫を成就させるために、妻を殺したのか?
姪が財産を独り占めにしたくて、伯母を殺したのか?
姪のフィアンセや、美しい助手も犯人の可能性があります。
この4人の中に、犯人はいるのでしょうか?
ひとりごと
以前、『クリスティー自伝』を読んだとき、アガサの母方の祖母が、晩年、
「召使が私に毒を盛るのよ……」
と言って、家族や女中を困らせた、というエピソードが載っていました。
ペンジェリー夫人が、冒頭でポワロに訴えた話は、アガサのおばあさまの独り言が、ヒントになっているように思いました。
収録本
クラブのキング
ヴァレリーという、人気ダンサーがおり、ロンドンでも一世を風靡していました。
しかし、ヴァレリーは、劇場のオーナーであるリードバーン氏に、言い寄られていました。リードバーンは、中年のでっぷりとした嫌味な男で、ヴァレリーは困っていました。
あるよ、ヴァレリーは、リードバーンの脅しから逃れるように、ある中流階級の邸宅に駆け込みます。
家族で、トランプのブリッジをしている最中でした。
ヴァレリーが、著名なダンサーだと知ると、その家族は手厚く看病してくれました。
しかし、ヴァレリーの手には血痕がついています。
翌日、その邸宅の隣の屋敷で、著名な劇場経営者リードバーン氏の遺体が発見されます。
ヴァレリーが正当防衛のために、殺してしまったのでしょうか?
しかし、リードバーン氏の遺体を調べると、女性の手で殺めるには、困難な殺され方をしていました。
ヴァレリーが駆け込んだ邸宅は、オグランダー家でした。
オグランダー家の人々は、なぜ、ヴァレリーを警察に突き出さず、匿うのでしょうか?
ポワロが調べていくと、オグランダー家は、4人家族でしたが、実は、行方知らずになっている娘がいました。
その娘は、もう成人しているとのこと。
なかなか、美形家族のようです……。
ヴァレリーは、オグランダー家と、実は関係があるのでしょうか?
ヴァレリーは、単に、リードバーンに言い寄られていただけなのでしょうか?
裕福そうに見えるオグランダー家の経済状態は?
ひとりごと
スリル満点な上に、人間が根底に持つ、愛情も描かれてい、短編ながら、感慨深いものがありました。
収録本
チョコレートの箱
ポワロが、故郷のベルギーに帰省し、現役の刑事時代に遭遇した事件を思い出す、というストーリーです。
ポワロがミスをした事件だったようです。
ある老婦人が、息子が人を殺めたことを知りながら、告発できずに、胸にしまいこんでいました。
しかし、息子は、再び、出世欲のために、同じ過ちを繰り返します。
悪党の息子が、このまま生きていては、社会迷惑になると思った矢先、夫人の息子は、書斎であっけなく死んでしまいました。
さて、この老婦人の息子は、大のチョコレート好きでした。
召使によると、酒もたばこも嗜まないが、チョコレートを毎晩食べていたとのこと。
書斎でなくった日も、チョコレートを食べていました。
ポワロが、事件を調べるために、息子の書斎に入ると、まだ新品のチョコレートの箱がありました。箱はピンクなのに、蓋はブルーです。
ピンクの箱にブルーのリボンをかけることはありますが、箱と蓋の色が反対色とは、どうも変です。
そこで、ポワロは、この屋敷の老婦人は、目が不自由なことに気づきました。
息子は、単なるチョコレートの食べ過ぎで、頭に血が上って脳震盪でも起こしたのでしょうか?
それとも、ちぐはぐな高級チョコレートの箱に、なにか秘密があったのでしょうか?
ポワロの失敗事件として、語り継がれる事件ですが、ポワロは、何を見落としていたのでしょうか?
ひとりごと
アガサの作品には、『邪悪の家』など、他の作品にも高級チョコレートが小道具に使われていますね。
ポワロさんも、大のチョコレート好きです。
アガサ自身もチョコレートに目がなかったようです。
当時はまだ、安価に購入できるチョコレートはなかったので、チョコレートと言えば高級品!
アガサの身近な好物が、トリックに使われるところも楽しいですね。
収録本
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