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ダフネ・デュ・モーリヤ1938年『レベッカ(上・下)』読書レビュー

おはようございます。
本日の読書レビューは、イギリスの女性作家ダフネ・デュ・モーリヤの『レベッカ(上・下)』です。
1938年に、イギリスで発表され、主人公は「わたし」という名のない若い女性。
終始、一人称でつづられています。

この作品のエピソード

「わたし」が、夫の出会いから、今日の平和な暮らしまでの一部始終を書いているのですが、とてもミステリアス!
作家のモーリヤ女史は、推理小説のつもりで書いたわけではないのですが、《ミステリー》のジャンルに入っている名作です!

ミステリーの女王、アガサ・クリスティーも『レベッカ』を読み、絶賛した一人なんだそうです。
アガサは、モーリヤ女史あての手紙に、「どうして主人公に名前がないのですか?」と、問い合わせたというエピソードも残っています。

ヒッチコックの映画作品でもお馴染みですが、映画のほうは、かなり脚色が入っているので、ぜひ原作で!

両親を亡くした「わたし」は伯母のコンパニオンに

主人公の「わたし」は、二十歳そこそこで、両親を亡くし、裕福な伯母に引き取られました。
養女ではなく、コンパニオンという形で、伯母の話し相手や、付き添いなどをして、お給料をもらっていました。
※欧米ではその昔、お金持ちのご婦人の話し相手になる《コンパニオン》という職業がありました。
伯母が、休暇でモンテカルロに旅行をすることになり、「わたし」も一緒に行くことになりました。
宿泊先の一流ホテルに滞在すると、伯母には顔見知りのお金持ちとも一緒になりました。

ホテルのレストランで、「わたし」は、あるイギリスの地方の名士で、マキシムという貴族男性と出逢います。
40歳前後の紳士ですが、妻を亡くしたばかりで、いつも単独行動です。
とてもハンサムですが、笑顔はなく、いつも暗い表情です。

マキシムが「わたし」にプロポーズ

伯母が、マキシムを食事に誘います。
伯母は、でっぷりとした50代の未亡人ですが、世界中の社交界に顔がきくようで、たいていの富裕層の人たちは、伯母の誘いを断りませんでした。
マキシムは、「姪御さんをお借りしたい」と伯母に断って、「わたし」をテニスやドライブに誘い出します。
物思いに沈んでいたマキシムの心は、世間知らずで、オシャレも知らない「わたし」の素朴さに、惹かれていきます。
まだ出会って数日なのに、モンテカルロ滞在の最後に日に、プロポーズします。

マンダレーの邸宅に

伯母が富裕層とはいえ、「わたし」は、貴族出身でもなく、予備知識もないまま名家に嫁ぎました。
マキシムは、すぐにイギリスのコーンウォール地方《マンダレー》の屋敷に戻ろうとはせず、一ヶ月ほど、新婚旅行と題し、フランスやイタリアを周遊しました。
そして、ついにマンダレーの屋敷に!
マキシムは、屋敷に近づくにつれ、表情が暗くなります。

亡き妻レベッカの存在に苦しむ

「わたし」は、広大な屋敷の中で、専用の部屋をあてがわれます。
「わたし」専用のメイドもつけてもらいました。
メイド頭は、前妻レベッカの嫁入りでこの屋敷に入ったダンヴァース夫人です。
夫を亡くしているようです。
表情もなく、規律正しい屋敷の規則を「わたし」に教えてくれます。
しかし、二言目には「前の奥様の時には……」と前妻の話を持ちだちます。

「わたし」はレベッカの魂が、まだこの屋敷に彷徨っているような、言い知れぬ恐怖におびえるようになります。

レベッカの秘密

ダンヴァース夫人の謎めいた、立ち居振る舞いも気になり、「わたし」は、レベッカが暮らしていたという離れに踏み入れます。
豪華な寝室は、まだそこに主が存在するかのように、手入れが行き届いています。
「わたし」が見入っていると、ダンヴァース夫人が現れ、部屋の様子や、衣類、寝具などを説明してくれます。

仮面舞踏会の準備

マンダレーの屋敷では、地元の人たちを集めて、毎年ダンスパーティーを催していました。
ヨーロッパの風習に見習って、仮面舞踏会です。
「わたし」は、夫のマキシムに相談しますが、好きなものを着るといいと言われ、女中頭のダンヴァース夫人に相談します。
意味深な笑みを浮かべたダンヴァース夫人は、「わたし」に、この屋敷の先祖代々の女性の肖像画を見せてくれます。
そこには、中世の白い衣装を着た、可憐な夫人の肖像画がありました。
ダンヴァース夫人は、マキシムは、この絵画が一番のお気に入りだから、喜ぶだろうと教えてくれます。

マキシムの怒りをかう

ダンスパーティーの当日、「わたし」は、中世の白い衣装を着て、マキシムを驚かせようとワクワクしていました。
しかし、階段の下で、「わたし」の姿を見たマキシムの表情は、凍り付きます。
マキシムの姉夫婦や、近隣から集まった招待客の表情も同じです。
事情を知らないのは「わたし」だけでした。
カーテンの陰では、ダンヴァース夫人が、意地悪く微笑んでいます。

取り乱したマキシムは、自室に走りますが……
早馬が来て、近くの湖から、女性の遺体が発見されたと告げられます。

嵐の夜に

「わたし」は、以前、犬の散歩で、湖のほとりにある家を見つけました。
マンダレーの屋敷の敷地内なので、マキシムの所有のはずです。
しかし、マキシムは、ただのあばら家だというだけで、何も語ろうとはしませんでした。
浮浪者が住み着いており、「わたし」に何かを語ろうとしていましたが、犬が吠えるので、その場を去りました……

今回の女性の遺体は、この浮浪者と関係があるのでしょうか?
楽しいパーティーの夜になるはずが、物騒な嵐の夜に変わり果ててしまいました。

マキシムは、参考人として警察に連行され……

さいごに

ネタバレになるので、ここから先は、本作をお読みください!
全シーンを通して、描写が細やかで、怖くて美しい光景が目に浮かぶようでした。

ダンヴァース夫人の存在が、とてもとても怖く、読者に恐怖感をあおります!
殺人が起きないミステリーというのでしょうか?
じわじわと、ナゾが解明していく終盤部は、圧巻でした。

伝統的なイギリス料理のオンパレード♪

ミステリーとしても楽しい小説ですが、イギリス伝統の料理やお菓子が、いろんなシーンで出てくるので、別の楽しみ方もできます!
スコーンやビスケット、マーマレードトースト、紅茶、レモネード、きゅうりのサンドイッチ、冷肉(サラダチキンのようなもの)などなど。

ダフネ・デュ・モーリヤは、同じくヒッチコックの映画作品となった『鳥』の作者でもあります。
他に、『レイチェル夫人』など、心理的に怖~い作品を多く残しています。
ぜひ、美して怖~いミステリーの名作『レベッカ』を、ご一読してみてください!
日本語版は、新潮文庫の“紙の本”のみです。

 

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