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アガサ・クリスティー1923~1931年短編『二度目のドラ(死人の鏡)』『二つの手がかり』『二重の罪』読書レビュー

おはようございます。
本日の読書レビューは、アガサ・クリスティーが1923~1931年ごろに書き溜めた短編集より、『二度目のドラ(死人の鏡)』『二つの手がかり』『二重の罪』の3つです。
数字の「2」がタイトルになっており、表のストーリーと裏のストーリーが絡み合うトリックが見事でした!

『二度目のドラ(死人の鏡)』1931年読書レビュー

この作品は、出版社によってタイトルが違い、『死人の鏡』または『二度目のドラ』となっている場合があります。

ポワロがある地方のお屋敷に呼ばれました。
主は著名な音楽家の老人で、とても時間に正確です。
つねにお屋敷には、招待客が滞在しているのですが、ディナーの時間に1分でも遅れると、もう招待してもらえません。

娘が、18時のドラが鳴るのを待ち構えていると、2度のドラが鳴りました。
1度目のドラは、時間より早かったので、執事が間違えたのだろうと思っていましたが、どうやら1度目のドラを聞いたのは、数名しかいませんでした。

食堂にはいると、主の姿がありません。前例のないことです。
主は、誰よりも早くに着席して、18時ピッタリに招待客全員が着席していることを、厳格に守ってきたのです。

すると、タキシード姿に盛装したポワロが、食堂に現れます。
「列車が遅れたので、今日の夕食は10分ほど遅れるのです」
と、皆に告げました。
招待客は、ポワロとは、初対面です。ポワロが名前をいうと、世界的に有名な探偵だと、皆が承知しており、ポワロは大満足でした。

さて、10分たっても、主は食堂に現れません。
ポワロは、時間厳守な主の性格を熟知していたので、非常事態を想定します。

娘は、ポワロに、ドラが2度鳴ったと思ったが、1度目のドラを聞いた人がいない、と告げます、
ポワロは、1度目のドラの話をバカにせず、真摯に受け止めました。

主の書斎へ行くと、ピストル自殺をはかっていました。
しかし、ポワロは違和感を覚えます。
娘が聞いた、1度目のドラは、ピストルの音だったのでしょうk?
しかし、ドラの音とは似ていません。
書斎には、かなり高価な鏡がかけられていましたが、割れていました。
ピストルで撃ったようなあとがあります。

鏡を打った、帰り玉で主は絶命したのでしょうか?
プライドが高く、支配欲も強い主は、自殺するタイプではありません。

秘書や執事、娘、妻、懇意にしている招待客……。
登場人物の中に、犯人がいるのですが……。

アガサは、重要な登場人物を犯人に仕立て上げるのがうまいですね!
目立たない、最初のほうから登場している人物で、ぜんぜん気がつかず、読み飛ばしていました。
最後のオチは、必見です!

収録本

ポワロ登場! 5

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『二つの手がかり(二重のてがかり)』1923年 読書レビュー

ポワロが参加していた、パーティー会場で、金庫からルビーが盗まれます。
現場には、犯人の遺留品と思われるシガレットケースと、秘書の手袋が見つかりました。
しかし、ポワロが捜査を開始すると、遺留品の持ち主は、すぐに見つかりましたが、ルビーを盗難する動機も薄く、それほど知恵者でもありません。

パーティー会場となった屋敷に訪れていたのは、イギリスの社交界の面々。
中には、ロシアの亡命貴族ロサコフ伯爵夫人もいました。
ポワロ好みで、知性を持ち合わせた華やかでスリムな女性でした。

宝石の盗難事件は、立て続けに3件も起きており、どれも伝説が残されているほど、いわくつきの宝石です。前回は大きなエメラルドでした。
今度は、大型のルビーです。

ロサコフ伯爵夫人は、帝政ロシア時代の貴族で、先祖代々に伝わる家宝の宝石をいくつか所有しています。
美しく育ちの良い伯爵夫人が、宝石泥棒をするのでしょうか?

他には、いつも盗難事件時に、パーティーの招待客リストにはいっていたイギリス人貴族の女性、金持ちの奥様方の愛人になりたがるハンサムなプレイボーイなど。

身分の高い女性でも、退屈しのぎに盗癖があるケースは多々あります。
そして、一見あやしそうに見えるプレイボーイは、盗難できるほどの知恵は持ち合わせていません……

ポワロは、犯人を見抜くことができるのでしょうか?
小柄なポワロさんが、大胆で頭が良く、少しおハデなご婦人が好みだと言うことがわかる、短編小説です。

収録本

ポワロ登場! 5

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『二重の罪』1928年 読書レビュー

ポワロとヘイスティングは、休暇で、短い旅を計画していました。
ヘイスティングは、いつもの一等列車ではなく、たまにバスで行こうと言い出します。
ポワロは、断固として反対していましたが、ヒゲをはやした中年男性にぶつかられ、急に態度をかえてバスに乗ると言い出します。

バスには、かわいらしい二十歳そこそこの娘が乗り合わせ、伯母の手伝いで、美術商していると、楽しそうに話しています。

バスの休憩で下車すると、ヒゲの男は見当たりません。
しかし、娘が何かを思い出したかのように席をたち、バスへ戻ります。

バスはまた出発し、娘は、トランクを間違えられたと思ったが、勘違いだったといって、バスに乗り込んでいました。

ヒゲの男は乗っていません。ポワロは、ロンドンで乗車する前、ヒゲの男の切符を、偶然にも見ていました。行先は、ポワロたちと同じはずでしたが……。

さて、目的に着くと、ポワロとヘイスティングの滞在先に、バスで一緒になった娘が訪ねてきます。
トランクは無事だったが、伯母から預かってきた、名作の絵画が盗まれていたというのです。

警察に届け、売却予定の紳士にも連絡を取り、ひと騒動が起こります。

数日がたち、事件は迷宮入りかと思われましたが、ポワロは、娘の伯母に会いたいと言い出します。

何がわかったのでしょうか?

タイトル通り、二重のトリックがあったのです。

短いながらに謎の多い、殺人の出てこない、楽しい犯人さがしミステリーです。

収録本

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