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アガサ・クリスティー1935~1939年『あなたの庭はどんな庭』『スペイン櫃の秘密』読書レビュー

おはようございます。
本日の読書レビューは、アガサ・クリスティーが1935年に発表した短編小説『あなたの庭はどんな庭』と、1939年に発表した『スペイン櫃の秘密』をお届けします。

1935年『あなたの庭はどんな庭』読書レビュー

ポワロのもとには、毎日、さまざまな種類の手紙が届きます。
ポワロは、国家を揺るがす大事件や新聞に載るような富豪の事件を好みます。
そのため、不倫捜査や老人の戯言のような事件は好みません。
ポワロは、秘書のミス・レモンにお願いして、すべてお断りの手紙を書いてもらいました。

しかし、その中に、何故か字が躍り、文面からひどく取り乱した様子の手紙がありました。
ミス・バロービーという高齢女性のようです。

お断りの手紙をだしてもらったものの、ポワロは気になり、ミス・レモンに、催促とか、再依頼の手紙がなかったか? 確かめます。

すると、ミス・レモンの返事は、

「ミス・バロービーは亡くなりました。今朝の通勤途中の地下鉄の中で、新聞を読んで気付きました」
とのこと。
ミス・バロービーは、独身を通した高齢女性で、姪夫妻を雇って、身の回りの世話や家の維持をお願いしていたようです。

ポワロは、ミス・バロービーが、新聞の死亡欄に載るほど、裕福な婦人であったことから、遺産がは、相当なものになるのでは? と頭を働かせます。
彼女は、何を焦って、ポワロに助けを求めていたのでしょうか?

ポワロは、後悔の念に駆られながら、ミス・バロービーの屋敷に向かいます。

そこには、初老にさしかかった姪夫妻が、伯母の喪に服していました。
ポワロは、美しい庭を見渡しましたが、一か所だけ、違和感がありました。
レンガの花壇の囲いのかわりに、1エリアだけ、牡蠣の殻が、使われていたのです……。

ポワロは、姪にあうと、開口一番に、伯母さんの好物や、亡くなった直前に食べたものを聞き出します。

姪の答えでは、ミス・バロービーは生牡蠣が好物で、いつも買いに行かされていたとのこと。

ミス・バロービーは、急死ということでしたが、高齢のため、だれも疑いの目をむけていませんでした。
生牡蠣にあたったのでしょうか?
ポワロは、庭の花壇の牡蠣の殻がどうしても気になります。
なぜ、牡蠣の殻を、花壇に……?

ポワロの直感が光る、短編小説でした。
思わず「ポワロさん、グッドジョブ!」と、心の中で叫んでしまいました。
最後のオチは、必見です!

収録本

ポワロ登場! 5

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1939年『スペイン櫃の秘密』読書レビュー

ある貴族のお屋敷でパーティーが開かる予定でした。
しかし、出席予定であったクレイトン氏が、その屋敷内で遺体となって発見されます。
遺体は、お屋敷の中にある《スペイン櫃》に入っており、その状況から、お屋敷の主、チャールズ・リッチが逮捕されます。

ポワロも出席予定でしたが、事件はそんなに単純ではない、と察知!
ポワロが調査を進めると、亡くなったクレイトン氏の妻、マルガリータの証言が得られます。

マルガリータは、とても美しく、言い寄ってくる男が後を絶ちませんでした。
結婚後も、執拗に恋焦がれる男性もおり、夫も困り果てていました。

屋敷の主催者もその一人なので、マルガリータの夫、クレイトン氏を亡き者にしたい動機は十分にあります。

数日後、マルガリータが自殺をはかりますが、未遂に終わりました。
どうやら、マルガリータは、不倫をしていたかもしれないのです。
嫉妬に狂った夫は、パーティーが始まる前に、スペイン櫃に入り込んで、妻の不貞の現場を押さえようと、たくらんでいたようです……。

スペイン櫃に、レイトン氏が入っていると知っていた者はいたのか?
室内では、フェンシングの試合が始まり、スペイン櫃に人が入っているとは知らず、剣をつきつけたようです……

マルガリータの不倫相手が黒幕なのでしょうか?
マルガリータ本人が、嫉妬深い夫を亡き者にしたかったのでしょうか?

ポワロが見抜いた事実とは……?

最初から最後まで、スリルとスピード感あるストーリーがお見事です!

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