おはようございます。
本日の読書レビューは、アガサ・クリスティーが1935年に発表した短編小説『厩舎街の殺人』『謎の盗難事件』『砂に書かた三角形』の3つをお届けします。
1936年『厩舎街の殺人(ミューズ街の殺人)』読書レビュー
ポワロは、ロンドン警視庁のジャップ警部と一緒に、《厩舎街(ミューズ街)》と呼ばれる中世の街の通りのお祭りに来ていました。
このお祭りは、花火大会が見ものです。
花火が上がるたびに、観客の声が轟いていました。
ポワロとジャップ警部は、花火の音に紛れて、殺人事件でも起きそうな夜だ、と冗談を言いあっていましたが……。
翌日、ポワロとジャップ警部の話は、現実となっていたのです。
厩舎街にある、アパートメントで、美しい女性の遺体が発見。
ピストルでこめかみを打ち抜いており、どうやら自殺のようです。
しかし、現場を見たポワロは、ピストルを持っていた手の位置に違和感を覚えます。
この女性は、ルームメイトと暮らしていましたが、ルームメイトは昨晩、留守でした。
亡くなった女性は、婚約しており、お相手は、最近注目の青年政治家とのこと。
ポワロが青年政治家を訪ねても、ショックを受けている様子はありません。
ルームメイトと婚約者のどちらかが、彼女に恨みをもっていたのでしょうか?
男性関係なのか、金銭トラブルなのか?
ポワロが女性の過去を探っていくと……。
ルームメイトのナゾの行動、
青年政治家の無関心さ……
印象に残る短編小説でした。
収録本
1927年『謎の盗難事件』読書レビュー
ポワロは、メイフィールド卿という、ある軍人に、夜中に電話で呼び出されます。
メイフィールド卿の屋敷に着くと、何やら物騒で、軍事機密の設計図が消失したとのこ。
その日は、屋敷で関係者を集めてのディナーがあり、何人かの招待客が宿泊していました。
アメリカで暮らしているヴァンダリン夫人や、メイフィールド卿の夫人と息子、秘書、軍人仲間など。
ポワロが、宿泊客に話を聞いていくと、
書斎の方面に人影を見たという者、
庭で歩いている人を見たという者、
幽霊を見たという者、
発言がバラバラです。
特にヴァンダリン夫人は、スパイ疑惑があり、招待客は彼女に罪を押し付けたいようですが……。
ポワロは、消去法で考え抜き、犯人を突き当てました。
話が入り組んでおり、殺人が起こらないミステリーでしたが、読者も一緒に考えさせられるので、頭の体操になりました。
収録本
1936年『砂に書かた三角形』読書レビュー
ポワロは休暇で、ある島を訪れます。
ヨーロッパ各地のブルジョワが集まるホテルで、ポワロも何人かの顔見知りがいました。
元女優が、3番目の夫の軍人と来ており、注目の的でした。
他に、ハンサムな夫と冴えない妻との組み合わせ。
裕福な退役軍人、きままなイギリス嬢の一人旅など、ポワロはユニークな仲間と、行動を共にすることになりました。
近くの岩山を見学したり、日光浴をしたりと、のどかな休暇が過ぎていきます。
しかし、ハンサムな夫は、妻をそっちのけで、元女優に夢中になります。
元女優も、夫に退屈しており、アバンチュールを楽しみたいようです。
ハンサムな夫を持つ、冴えない妻は、1人海を眺めて、物悲しそうです。
いたたまれなくなったポワロは、一刻も早く、この島を去ったほうがいい、とアドバイスします。
ポワロも、不穏な空気に嫌気がさし、予定よりも早く発つことにしました。
ポワロが、ホテルを去った夜、残った人たちは、ホテルのバーに集まっていました。
しかし、元女優がカクテルを飲むと、急死します。
カクテルに毒が盛られていたのです。
一方のポワロは、出向手続きに手間取っており、まだ島の中にいました。
そこに、ホテルから知らせで、元女優の毒殺を知ります。
急遽、ホテルに引き返したポワロは……。
さて、男女の三角関係がもつれあった殺人のように見えますが、女優を亡き者にしたのは誰だったのか?
一番疑わしいのは、嫉妬にくるった夫です。
しかし、そんな単純なものではないでしょう。
元女優が飲んだカクテルは、元々は夫のグラスでした。
のどが渇いていた女優が、夫のものを先に飲んだため、死が訪れたのです。
ということは、元々の狙いは夫だったのかもしれません。
夫がいなくなって得をするのは、女優のアバンチュールのお相手のハンサムな男性。
冴えない妻は、昼間、ポワロに言われた助言を思い返します……
真相はいかに?
収録本
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