一日一食×読書でダイエット脳を育てるブログ

毎日のプチ断食習慣で、腸と脳をクリーンに!

『ガラスの鍵』1931年ダシール・ハメット読書レビュー

おはようございます。
本日の読書レビューは、アメリカの作家ダシール・ハメットが1931年に発表した『ガラスの鍵』です。
ダシール・ハメットは、今日のハードボイルド小説の始祖と言われており、戦後のアメリカで人気のあった作家の一人です。
90年ほど前の小説ですが、当時のアメリカの都市部が舞台で、とてもスタイリッシュな作品でした。

賭博師ネッド・ボーモントの生きざまがカッコイイイ!

主人公は、賭博師のネッド・ボーモン。
アウトロー的な雰囲気を持つ、中年の男で、賭け事で、アメリカの主要都市を転々としています。
賭け事に勝ったり負けたりの繰り返しで、住所も不定ですが、いつも親友で建設会社を経営しているポール・マドウィッグが助けてくれます。
ある日の夜更け、ネッドがいつものように賭博場に出没し、ゲームをしていると、常連の男の一人が、ぼやいています。
同棲相手の女性が妊娠したというのです。
その場はやり過ごしましたが……。
この男とのゲームに大勝した、ネッドは、大金を受け取る予定でしたが、次の日からこの男の行方がわからなくなります。

上院議員の息子の遺体を発見

ネッドは、男からの大金を受け取れず、いつものように親友のポールの家を訪れました。
ポールが、当分の生活費を都合してくれますが、打ち明け話も聞かされます。
その街の有力者、上院議員のラルフ・バンクロフトの娘ジャネットと結婚したいということです。
歳がかなり離れているうえ、有力者の娘となると、後々面倒です。
ネッドは、反対しますが、ポールは、娘の美しさに心を乱されているようです。
その日の夜、ネッドは、中華街の賭博場に向かいます。
人影のない、路地裏を進むと……、若い男の遺体と遭遇しました。
なんとなく見覚えのある顔です。
ネッドは、警察へ知らせる前に、ポールに報告しました。
男の遺体は、ポールが結婚してがっている娘の兄テイラーでした。
すなわち、上院議員の息子だったのです……。

行方をくらました男とテイラーの関係

ネッドは、ポールに知らせた後、警察に通報しました。
翌日の新聞は、上院議員の息子殺害ニュースが一面を飾っています。
ネッドも、上院議員と面識があるので、家を訪ね、息子殺しの探偵役を買って出ます。
ネッドは、賭博師で無職でしたが、親友のポールや上院議員、警察などから、なぜか一目置かれる存在です。
冷静に物事を判断する能力を買われているようです。
上院議員の縁故で、急遽ネッドは、公的な役職を都合してもらい、調査を始めました。
すると、ネッドの掛け金をくらました男と、亡くなったテイラーは、賭博場で懇意にしていたとのこと。
店のスタッフによると、テイラーは、大金が手に入ると吹聴していたようです。
父親が金持ちだから、親のお金をあてにしていたのでしょうか?
行方不明の賭博師が、テイラーからお金を受け取れずに、殺してしまったのでしょうか?

ガラスの鍵

ガラスの鍵

Amazon

帽子のなぞ

この作品は、とてもスタイリッシュなのですが、当時の時代背景が小道具として、効果的に使われていました。
それは、帽子です!
当時のアメリカでは、今のビジネスマンの基本であるスーツを、日常的に着こなし、帽子を被っていました。
金持ちも貧乏人も、生地の良し悪しは違えど、だいたい似たような恰好をしていました。
帽子も被らずに出かけるのは、慌てている証拠だと言われるほど、帽子を被るのが日常的だったのですね。
ネッドが発見した時の、テイラーの遺体は、帽子を被っていなかったのです。
妹や、屋敷の使用人の証言によると、家を出る時、テイラーは帽子を被っていたのだそうです。
この帽子の行方も、この作品の重要なストーリーとなっていました。

杖が凶器? 親友のポールが関与?

ネッドが調査を進めていくと、凶器は杖のようです。
杖自体は、木製ですが、上質なものは、持ち手部分に金属が使われています。
杖の特定も終わり、なんと、ポールに疑いの目が向けられます。
ポールは、テイラーが亡くなった日、上院議員の夕食に招かれていました。
テイラーは同席していませんでしたが、杖は屋敷内にあったものです。
当時は、足が悪くなくても、オシャレの一部として、杖をもつ風習がありました。
ポールは、経営している会社が安定しているので、上院議員の選挙を巡って、賄賂疑惑もあるので、不利な状況です。
この杖はポールのものだったのでしょうか?

娘から語られる父親の顔

ネッドは、屋敷にあった杖が、凶器と一致したことから、妹のジャネットにも話を聞きに行きます。
親友のポールがのぼせ上がるだけあって、かなりの美人です。
しかしジャネットは、放蕩息子であったテイラーと違い、かなり頭脳明晰です。
ジャネットは、ポールにはさほど関心がないようでした。
父親が政略結婚のために、選んだ相手だと思っているようです。
ジャネットの話を聞くうちに、父親である上院議員の狡猾さが垣間見えてきます。
ジャネットは、父親が権力を振りかざして、強引に市政を進めるやり方を、娘として快く思っていませんでした。
「父は、選挙に勝つためなら、なんでもやってのける」と言う始末。
ネッドは、ある考えが閃きました。
警察と協力しあって、ネッドの調査は大詰めになります。

さいごに

この後は、ネタバレになるので、本書をぜひ、お読みください!
ダシール・ハメットは、日本ではさほど、有名ではないかもしれませんが、ミステリーマニア、ハードボイルド小説マニアの間では、かなりの人気です。

賭博師でありながら、実は名探偵でもあるネッドの生きざまが、カッコよく、すっかりファンになってしまいました。

さて、ネッドの親友ポールは、美しいジャネットの心を掴めたのでしょうか?
お嬢様が、アウトローに惚れてしまう……?
という方程式もチェックしてみてください。

タイトルの『ガラスの鍵』は、ネッドとジャネットが、殺人事件を紐解きながら、夢の話をするときに出てくる、象徴的な小道具でした。

後世に残る名作を、ありがとうございました!

 

\新刊のご案内/『なぜ人は食べすぎるのか?』

2022年9月3日に発売された新刊

『なぜ人は食べすぎるのか?』
~食欲を支配する5つのホルモンの活用法~

《Kindle Unlimited》なら、追加料金なしで、おとくにお読みいただけます!

食べすぎてしまうのは、あなたのせいではありません。
食欲を支配する5つのホルモンを上手く活用して、ダイエット後も、適正体重をキープしましょう。