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朝井まかて2014年直木賞受賞作『恋歌』読書レビュー

おはようございます。
本日の読書レビューは、2014年に朝井まかてさんが発表した『恋歌(れんか)』です。
この作品は、第150回直木賞受賞作!
とても読みやすい歴史小説で、樋口一葉の師・中島歌子という歌人の物語です。

中島歌子は、幕末の江戸で《池田屋》という商家の娘として育ちます。
商いは、宿屋で、主に水戸藩の侍が、江戸での常宿として利用していました。

歌子は、幼い頃、行儀見習いで水戸藩のある屋敷で、女中奉公をしたことがありました。

16歳になった歌子には、見合い話がひっきりなしに舞い込みますが、あるお侍に恋心を抱いていたのです。

水戸藩の侍で、池田屋を利用したことがあり、歌子の一目ぼれでした。
やがて、幕末の動乱がありましたが、歌子の待ち人は無事でした。
なぜか、そのお侍も、歌子を見初めていました。

夢が叶い、歌子は、水戸へ嫁ぐことになりましたが、夫婦らしい生活が送れたのは、数えるほどの日数しかありませんでした。

夫は尊王攘夷の急先鋒(きゅうせんぽう)《天狗党》の志士でした。
やがて内乱が勃発し、歌子や、義妹も逆賊として投獄されました。

夫が生きていると信じて、牢獄の中で義妹を希望を持ち続けながら、前向きに生きる歌子の健気な描写が、心を打ちます。

時がたち、明治時代となり、歌子は、歌人として私塾を開きました。
その門下生には、樋口一葉などがおり、明治を代表する女流小説家や歌人を輩出しました。

さすが直木賞受賞作だけあって、描写が丁寧で、江戸の情景が美しく思い描ける作品でした。
朝井まかてさんの筆力によって、むごい牢獄生活までもが、情緒的に感じられる作品でした。

歴史小説は、苦手意識がありましたが、とても読みやすく、幕末の知らざる物語を知ることができ、世界が開けました!
ありがとうございました。