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ニュージーランド・ミステリー『死んだレモン』2017年フィン・ベル読書レビュー

今週のお題「カバンの中身」

おはようございます。
カバンの中には、いつもKindle専用端末《Fire》と文庫本が入っています。
文庫本は、8割がたミステリー小説です。

本日の読書レビューは、フィン・ベルのデビュー作『死んだレモン』2017年。
ニュージーランドのミステリー小説で、日本では、2020年に翻訳本が出版されました。

ニュージーランド・ミステリー

日本では、あまりニュージーランド・ミステリーの翻訳本は見かけないですよね。
しかし、ニュージーランド国内にもミステリー新人賞があります。
本作は、2017年度《ナイオ・マーシュ賞》を受賞!

新人のミステリー作家とは思えない筆力で、冒頭から衝撃の展開です。
主人公が死と紙一重の苦境に陥りながら、最近半年のできごとを反芻していく物語です。

主人公の名は作者と同じ

主人公の名は、作者自身のペンネームであるフィン・ベルという38歳の男性。
若くして事業に成功し、まとまった貯金もできましたが、だんだんとアルコールに溺れ、妻とも離婚。子供はいませんでした。
その後、アルコールが原因で、交通事故に巻き込まれて、下半身不随の車いす生活を余儀なくされました。
ニュージーランドの最南端の海辺に、中古のコテージを購入し、新しい生活を始めます。

自殺願望の主人公

生きる希望もないので、終の棲家にして、自害用にピストルも購入していました。

しかし、小さな街の人々は、フィンにとても親切で、カウンセリングを受けたり、車いすラグビーチームの入会を勧めたりと、なかなか居心地が良くなってきます。

そんな折、古いコテージなので、電気の接触が悪く、街の電気工事士に見てもらうことになりました。
そのコテージの隣の敷地には、代々クジラ漁を営んでいるゾイル家という一族の屋敷があります。
広大な敷地内では、養豚場も経営していました。
フィンのコテージは、ゾイル家の電気配給と同じラインのため、隣家同士で話し合う必要が出てきました。

隣のゾイル家3兄弟

すると、ゾイル家の3兄弟が出てきて、何とも恐ろし形相です。
電気の配給の話し合いだけで、気分を害するものか? と思われるほど、その後、フィンへの嫌がらせが始まります。

フィンの家には、猫の一家が住みこむようになり、前の持ち主の老女を訪ねて、理由を聞きます。
しかし、老女から出てきた言葉は「私は、決して忘れない……」でした。

26年前の未解決事件

不審に思ったフィンが、調べていくと、コテージでは26年前に娘が行方不明になり、遺体の一部が見つかっていました。
その後、父親も失踪しており、遺体は見つかっていません。

隣のゾイル家が絡んでいるようですが、証拠はあがりませんでした。

日に日にフィンへの嫌がらせもひどくなり、猫の一家もいなくなります。

主人公の使命

コテージの電気配線を担当している電気工事士は、何かとフィンに親切です。
電気工事士のすすめで、コテージを離れて、車いすラグビーチームの仲間宅でお世話になりますが、フィンは、ゾイル家の犯罪の証拠探しが、自分の使命だと思い始めました。

ゾイル家の三兄弟は、漁船で沖に出ていることもあるのに、どうやってフィルの行動を監視していたのでしょうか?
隠れた黒幕がいたのでしょうか?

さいごに

最後の数ページの、どんでん返しが、お見事でした!
主人公が、ゾイル家の犯罪履歴を暴く過程が、物語の本筋だと思っていましたが、裏のストーリー展開が巧妙で、最後までわかりませんでした!

久しぶりに、最後に目が覚めたミステリーでした。
ありがとうございました!